2006年のオーストラリアの情勢に関する資料

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標     題
要         旨
2006.12.20 Jane's Defence Weekly Boeing wins TUAV commission for Australian Army <0702-122003>
 オーストラリア国防省が、陸軍の TUAV を$114Mで Boeing社に発注した。 Boeing社 は IAI社と協同で I-View 2個システムと追加機体を納入する。 豪陸軍の TUAV は2009年に運 用が開始される。
 I-View は全長6.7m(註:最大離陸重量240kg)で、1個システムは4機の UAV と2基の地上装置からなる。 カタパルトから発射され、 パラフォイルで回収(右図)されるため、狭い場所での運用が可能である。
2006.12.20 Jane's Defence Weekly Australia eyes Super Honets as a JSF capability stop gap <0702-122002>
 オーストラリアは12月13日に F-35 の PSFD MoU (Production, Sustainment and Follow-on Development) に 署名したが、計画遅延のおそれが大きいため2個飛行隊分として24機の F-18F を調達 することにした。 F-18 は2008年から引き渡され、現在改良計画が進められている現有の F-18 を増強する。
 最初の飛行隊分の F-35 は2013年に引き渡される計画であるが、業界関係者は1〜2年遅 れると見ている。
2006.11.20 Aviation Week & ST Raising the stakes <0623-112006>
 オーストラリアは Wedgetail AEW&C 機の18ヶ月納期延滞について、要求性能を確実に満たすことを条件に Boeing社に当初求めた$496M の課徴金を取り消すことを決めた。 豪政府は性能発揮を重視した計画時程の見直しを求めると共に、開発経費は増額しないとしている 。
 豪政府の調査によると、MESA レーダの性能上の問題、ESM システムの開発遅延、サブシステムの組み込みの 問題等が明らかとなった。
 Wedgetail は2006年末に2機、2008年末に4機を納入する計画であった。
2006.11 Jane's Missiles & Rockets Australia opts procure AGM-158 JASSMs from US <0624-110008>
 豪空軍が JASSM の採用を決定した。 JASSM の初の輸出となる。
 豪空軍は F/A-18C/D に搭載するため F/A-18 のソフトウェアの改修が必要になる。 搭載のための風洞試験 は既に開始されている。 豪空軍への最初の引き渡しは2009年末が予定され、2010年に装備化される。
 Lockheed Martin社は米空軍から Lot 5 までの779発を受注しており、既に475発が納入されている。 豪空軍 向けは米軍向けの Lot 7 と並行して製造される。
2006.10 International Defence Review Australia outlines the shape of things to come for next-genaration destroyer fleet <0620-100003>
 豪海軍の Evolved AWD (Air Warfare Destroyer) の詳細が公表された。 米海軍の Arleigh Burke 級駆逐艦を元にした船体は、全長 148m、満載時排水量8,100tで、230が乗り組み最大速力28kt以上の性能を持つ。
 主要兵装は AWS (Aegis Weapon System) 7.1Mk 41 VLS 64セル、AGM-84 Harpoon 4発、Mk 45 Mod 4 127mm62口径砲である。 3隻建造される一番艦は2013年就役を予定されている。
 尚、スペイン Navantia社 F-100 フリゲート艦を元にした全長146m、排水量6,000tの案も、Arleigh Burke 派生型のコストが高すぎた 場合のオプションとして留保される。
【▽註:】
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┃     ┃こんごう型┃ あたご型 ┃  AWD  ┃ DDG-51 ┃
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┃基準排水量┃ 7,250t ┃ 7,700t ┃ −−− ┃ −−− ┃
┃満載排水量┃ 9,485t ┃ 10,000t ┃ 8,100t ┃ 8,300t ┃
┃全   長┃  161m ┃  165m ┃  148m ┃  142m ┃
┃速   力┃  30kt ┃  30kt ┃  28kt ┃  31kt ┃
┃Mk 41 セル┃ 29 + 61 ┃ 64 + 32 ┃  64  ┃  90  ┃
┃主   砲┃ 54/127mm ┃ 62/127mm ┃ 62/127mm ┃ 54/127mm ┃
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2006.08.02 Jane's Defence Weekly Australia approves UAV patrol plan <0617-080208>
 オーストラリアは長大な海岸線の哨戒に UAV を使用する MUAS (Multimission Unmanned Aerial System) 計画を進めており、2006年末までに二回の試験が予定されている。 MUAS には60,000呎で 24時間の継続監視が要求され、Predator と Global Hawk が候補にあがっている。
 Predator の試験は8月末から三週間行われ、南豪、西豪、及び北西海岸で行われる。 Global Hawk の試験は実機を用いない仮想で行 われる。
2006.07.26 Jane's Defence Weekly Australia to simulate Globl Hawk high-altitude UAV trial <0616-072610>
 豪政府は Northrop Grumman社に対し、HALE UAV を用いた同国 North West Shelf 地域の哨戒に関する解析を、$3.5Mで発注した。  同社は米国にある同社の施設で RQ-4 Grobal Hawk を模した仮想評価を実施する。
(関連記事 AW&ST 2006.05.29)
2006.07.17 Defense News Aerospace dominates Australia's 10-year plan <0617-071703>
 オーストラリア軍の10年間、総額$38Bの装備計画では40%以上が航空機の調達に当てられている。
 国防省が6月20日に公表した計画によると、F-111C の後継に F-35A 100機以上を導入するのに約$9B、その他 輸送機、ヘリ及び HALE UAV 等の調達に約$8Bを計上している。 
2006.07.05 Jane's Defence Weekly Australia criticises Boeing over delays to Wedgetail <0615-070513>
 Boeing社からの Wedgetail AEW&C 機延納の申し入れに豪国防相が強く抗議している。 Wedgetail は2006年 末までに2機、2008年末までに残りの4機が納入されることになっていたが、Boeing社が全6機を2008年末までにと延納を申し入れている。 延納の理由は、あるハ ードウェアとソフトウェアの開発上の問題が発生したことによる。
 豪政府は2000年12月に計画を開始していた。
2006.05.29 Aviation Week & ST Microwaveable <0612-052910>
 オーストラリアは AESA レーダ搭載の Wedgetail AEW&C を導入したが、今後装備する JSF も AESA レーダを装備している。
 AESA は今後の戦闘を大きく変化させる画期的な技術として注目されているが、その機能と潜在的能力は完全には解明されておらず、 同国 DSTO (Defense Science and Technology Organization) では性能把握とその適用について研究を進めている。
 オーストラリアは現在 AESA 技術の移管に関する条約制定を米側と協議中である。 
2006.05.29 Aviation Week & ST Unmanned plan <0612-052908>
 豪国防省は、2020年頃までに NCW の基本装備として新たな大型 UAV の導入を検討している。 AESA レーダ と E/O 機材を搭載する UAV で広域を高々度から偵察監視する構想であるが、米国の Global Hawk や Predator は候補にあがっていな い。
 空軍は19機の P-3C のうち12機は有人機とするが、残りは Global Hawk 級の UAV に偵察 用センサを搭載し運用する。
 また、JSF の補足として UCAV を導入する計画で、当初100機を予定した JSF を70機に減らし、2014年以降 に30機以上の UCAV を装備する。 
2006.04.12 Jane's Defence Weekly Australia moves ahead on TUAV basing plans <0609-041208>
 豪議会が、TUAV を支援する施設を$12.28Mかけて建設することを承認した。 新施設では新 TUAV の運用、訓練、補給整備を実施する 。
 豪陸軍は2005年12月に、IAI社製 I-View 250 TUAV 2個システムを$102Mで購入する決定をしており、I-View 250 は新編される第132 STA 大隊 (Surveillance and Target Aquisition 大隊) に装備される。 第132 STA 大隊は既存の第131 STA 大隊と共に、2007年1月1日に新編される第20 STA 連隊の隷下に入る。
2006.04 Jane's Missiles & Rockets Australia selects JASSM for FOSOW requirement <0609-040027>
 オーストラリアが FOSOW (Follow On StandOff Weapon) に AGM-158 JASSM を選定し、 AGM-84H SLAM-ER Taurus KEPD 350 は脱落した。 オーストラ リアの JASSM はデータリンクを装備する。
 JASSM の引き渡しは2009年に開始され、豪空軍の F/A-18 に装備される。 この結果 F-111 は予定通り退役 する。
2006.03.27 Aviation Week & ST JSF juggle <0608-032704>
 オーストラリアは100機を購入する計画であった JSF を70機に減らし、30機を UCAV とする方針である。
 空軍の構想では、単独の UCAV 飛行隊を組織せず、常時 JSF と混合運用し、飛行間は JSF または同時運用す る Wedgetail AEW&C 機から操縦制御する。 採用する UCAV の機種は未定だが、軍関係者は Predator B の可能性を示唆している。
 JSF 初号機の取得は2012年を予定し、空軍は16機編成の3個飛行隊を2017年までに編成する計画で、最初の飛 行隊の IOC を2014年としている。 
2006.03.17 Yahoo 産経新聞記事

「中国軍拡に日米豪結束、あ・・・」

<0607-031702>
 麻生太郎外相は18日にシドニーで開かれる日米豪三ヶ国による初の閣僚級戦略対話 に臨む。 急激な軍拡を続ける中国が大きなテーマとなるのは確実で、三ヶ国外相が中国問題で意見交換する。
 中国脅威論が国際社会に広がる中、三ヶ国が結束して中国に対応していくことを明確に示す 節目の会談となる。
2006.03.08 Jane's Defnce Weekly Australia selects JASSM but cuts scale of project <0607-030810>
 オーストラリアは同国の FOSOW (Follow-On Stand-Off Weapon) 計画に、AGM-84H SLAM-ER を抑えて AGM-158 JASSM の採用を決めた。 この結果オーストラリアは JASSM の初の輸出 国となった。
 豪空軍は JASSM を F/A-18 に搭載して2009年12月に運用を開始し、AGM-142 を搭載する F-111C と交代させ る。
 豪空軍が装備する JASSM の特色は双方向データリンクを搭載することで、Lockheed Martin社はこれを JASSM-ER から搭載する計画であった。
2006.03.06 Defense News JASSM to arm australian Hormets, F-35s <0608-030607>
 豪国防省は FOSOW (Follow-On Stand-Off Weapon) 計画に AGM-158 JASSM を採用す ることを決めた。 同国は最初の JASSM 輸入国となる。
 豪空軍は JASSM を F/A-18 に搭載し、2009年12月に運用を開始する計画で、将来 F-35A にも搭載を予定する 。
 豪空軍は F-111 を2010年以降退役させる計画であり、後継に F-35A を予定している。 
2006.03.06 Aviation Week & ST Australian stealth <0607-030605>
 豪空軍は米国以外で初めて AGM-158A JASSM を2009年以降導入する計画である。
 空軍は今後10年間を目標とする NCW (Network Centric Warfare) 能力向上の一環に JASSM を位置づけており、先ず F/A-18 に搭載し 、2014年以降に JSF への搭載をめざす。
 現在米国では射程500哩以上の JASSM-ER の開発が進められている。
2006.02.13 Defense News Austria is first export deal for Europe's IRIS-T missile <0606-021301>
 豪州は、欧州 6ヶ国が共同開発した IRIS-T 短距離 AAM (右図) の最初の輸入国と なる。
 国防省は細部を明らかにしていないが、1月29日付けの新聞報道によると、政府は20〜25発を総額$12Mで購入 し、Sidewinder の後継として Eurofighter Typhoon に搭載する計画である。
 IRIS-T はドイツが1,250発、スペインが750発、イタリアが444発、ギリシャが350発、スウェーデンが250発、ノルウェーが150発を調達 する予定であり、Typhoon の他、Hornet、Gripen、Tornado 及び Phantom に搭載される。
2006.02.08 Jane's Defence Weekly Rival teams line up for RAN amphibious ships <0605-020808>
 豪海軍が2隻建造を予定している LHD に三社が受注を競っている。 新 LHD は1,000名の兵員と M1A1 Abrams MBT を含む150両の車両を搭載し、6箇所のヘリ降着スポットを持つ水陸両用戦艦で、2012年の就役が予定され ている。
 豪国防省は現在仏海軍艦を元にした21,000t型と、西海軍艦を元にした27,000t型の 二種類を検討している。
2006.01.25 Jane's Defence Weekly Offshore interests <0604-012507>
= 近年海外進出を始めだした豪国軍に関する6頁にわたる特集記事 =
AWD 駆逐艦
 3隻建造される7,000〜8,000t級 AWD の主任務は水陸両用部隊の対空掩護で、Arleigh Burke 型になるかスペインの F-100 対空フリゲ ートの豪州版になるかの決定は2006年中に行われる。
(AWD に関する記事 JDW 2005.08.24)
ANZAC 級フリゲート
 ANZAC 級フリゲートは対 ASCM 能力強化のため CEA-FAR 及び CEA-MOUNT レーダを搭載する改修が行われる。
(CEA-FAR/-MOUNT に関する記事 IDR 2005.12)
FFG
 FFG の能力向上のため初号艦 Sydney が改造され、SM-1 を SM-2 Block V に換装する。 また ESSM の 4-pach 発射機も搭載 される。
(FFG 改造に関する記事 JDW 2005.09.21)
2006.01.25 Jane's Defence Weekly First Wedgetail arrives for modification in Australia <0604-012506>
 オーストラリアで Wedgetail AEW&C に改造される Boeing 737-700 4機の一番機が、1月16日に引き渡された。  他の2機は Boeing社の Seattle 工場で改造される。
 Wedgetail は MESA (Multirole Electrically Scanned Array) レーダを搭載する世界初の 全周監視フェーズドアレイレーダ搭載機で、最初の2機が2006年、残りの4機が2008年に引き渡される。
(関連記事 AW&ST 2005.07.11)