その他高速対地巡航ミサイルに関する報道

年 月 日
出   典
標       題
要             旨
2024.05.13 Defense Update Kongsberg Teams with MBDA, Diehl to Develop a Supersonic Anti-Ship Missile <2406-051321>
 Kongsberg社が、パートナーであるドイツのDiehl社およびMBDA Deutschland社チームを組み、先進的な超音速攻撃ミサイル (3SM) であるTyrfingを開発してきた。 この新しいミサイルは、2035年からノルウェー海軍艦艇に配備される
NSMに代わると予想され、その後ドイツ海軍への導入が期待されている。  この計画は、2021年に両国政府による公的承認を得て、共同プログラムになり、ドイツは2024年に新型ミサイルの試験計画を発表する。 Kongsberg社が ドイツの2企業と提携することは、この方向への一歩である。
2016.11.09 Jane's Defence Weekly Raytheon relieves DARPA funds for hypersonic weapon project <1701-110908>
 米国防総省が10月28日、
DARPAの超高速ジェットエンジン兵器(HAWC)計画をRaytheon社に$174Mで発注 したと発表した。 この計画は空軍と共同でHSSW空中発射型超高速CMの技術開発を目指すもので、Lockheed Martin社もTBG計画を受注している。
 HAWC、TBGいずれの計画も2020年頃に試作機の飛行試験が計画されている。
2016.04 International Defence Review Hypersonic hustle: Global efforts raised to satisfy need for speed <1605-040012>
= 超高速飛翔体開発に関する4頁の記事 =
米 国
 HSSWX-51AXS-1TBGHAWCREACH
ロシア
 GELAKh-90GZURGran-75
インド
 BrahMos Ⅱ
2016.03.16 Defense News Lockheed's Marillyn Hewson touts breakthroughs in hypersonic weapons <1604-031605>
 米本土を30分で横断できる超音速飛翔体の開発を米国は、X-15がMach 5で飛行して以来60年以上も続けており、2013年には
X-51 Waveriderが高度60,000ftでMach 5.1での飛行に成功したが、発生する熱への対応などで技術的な困難が伴う ため米国は積極的でなかった
 これに対して中露積極的に開発を進めていることから、米国でもLockheed Martin社CEOが15日、同社の超高速飛翔体 開発への意欲を示した。 同社は2011年にDARPAと共同で、Mach 20を目指した超高速飛翔体HTV-2の飛行試験を行っ たが失敗している。
 同社が意欲を示しているのはDARPAと空軍の共同計画HAWCTBGで、HAWCは2018年に試 作機の飛行試験を目標に今年中頃に契約が行われる。 同社はブースタで加速しスクラムジェットでMach 5を達成するHAWCを3月末に提案するとい う。
2016.03.10 Inside Defense Air Force seeks new-start authority to arm B-2 with long-range, stealthy cruise missile <1604-031005>
 米空軍が議会に対し、空軍の超音速ステルスCM長射程型をB-2に搭載することを要求している。
 このCMを搭載したB-2は、作戦の初期重要目標の攻撃を行うという。
【註】
 記事にある「空軍の超音速ステルスCM」が何を指しているのかが分からない。
 空軍保有するの超音速ステルスCMとしてはAGM-129Aがあるが国防費削減から調達が途中で打ち切られ、既に廃棄されたとの報道もある。
【関連記事:0910-090024 (JMR 2009.09)】
 現在米軍はAGM-86 ALCMの後継となる核弾頭CMである長距離スタンドオフ兵器(LRSO)を次世代爆撃機LRS-B搭載用として検討しているが、LRSOはまず核弾頭型を開発し、 次いで通常弾頭型を開発するという。
2016.03.01 Military Times Hypersonics could help Air Force thwart enemy anti-air defenses <1604-030104>
 米空軍協会のMitchell Institute for Aerospace Studiesと、元米空軍研究所(
AFRL)所長のBedke退役少将が1日、国会議員に宛てた25頁に のぼる報告書'Hypersonic Weapons and US National Security'を公表した。
Hypersonic Weapons and US National Security
 この報告書では、最新対空兵器に対抗するMach 5の超高速ミサイルの必要性を訴えている。 米空軍は2013年に X-51 Waveriderにより3,500mphで3分間飛行することに成功しているが、その後の計画は2019年までない。
 これに対し中露はこの種飛行体の飛行試験に成功している。
2015.06 International Defence Review Raytheon pursues tactical hypersonics <1507-060001>
 Raytheon社が4月下旬に、
TBG の開発継続を DARPA から$20Mで受注したと発表した。
 TBG は DARPA と空軍が開発を進めている戦術用の超高速滑空弾で、高度200,000ftに打ち上げられてから 再突入し、大気圏上層部で跳躍滑空して、Mach 5 以上での飛行を目指している。
 技術的課題は空力摩擦に対する耐熱性と、機動性の確保にある。
2013.03 Jane's Missiles & Rockts Russia plans hypersonic test flight <1304-030021>
 イズベスチャ紙が1月14日、ロシアが Mach 5 の超高速ミサイルの飛行試験を7月~8月に実施すると報じた。 2012年9月には副首相が、超 高速技術開発への投資を拡大すると述べている。
【関連記事:1210-090502 (JDW 2012.09.05)】
 同紙は2012年12月22日に、この計画はソ連時代と1990年代に研究が続けられていた Raduga設計局の Kh-90 GELA を継承するものと報じてい る。
【 Kh-90 GELA 関連記事:0405-030104 (AW&ST 2004.03.01)】
2013.01.23 Jane's Defence Weekly Russia working on hypersonic weapon <1302-012313>
 ロシア超高速空投武器の開発を再開しており、パイロンから投下する試験を行っている。 現在は亜音速で2~3kmの飛 翔であるが徐々に速度を上げ、2013年7~8月には Mach 5+ にする計画である。
 ロシアはソ連時代に超高速ミサイルの研究を行ってきたが、兵器開発には至らなかった。
【 Kh-90 GELA 関連記事:0405-030104 (AW&ST 2004.03.01)】
【 3M-25 Meteorit 関連記事:0721-100808 (AW&ST 2007.10.08)】
2011.02.09 Jane's Defence Weekly USAF develops high-speed bunker-buster <1103-020905>
 米空軍研究所 (AFRL) と航空戦闘集団 (ACC) が、北朝鮮やイランの HDBT 目標 を破壊する小型高速武器の開発を進めていおり、今後3~4年かけてスレッド試験が行われる。
 HDBT 破壊兵器としては B-2 に搭載する30,000-lbの MOP があるが、開発する高速武器は他の航空機への搭載を目 指す。
2010.11 Jane's Missiles & Rockets Top US scientist predicts big advances in GPS/INS guidance <1012-110034>
 米国防総省が9月、今後10年間を見据えた空軍の主要技術を見積もった 'Thechnology Horizons' を作成した。 こ れは1945年の 'Toward New Horizon'、1964年の 'Projext Forcast'、1995年の 'New World Vistas' に次ぐもので、30件の発展が見込まれる技術分野 (PCA) を列挙した第一巻のみが非区分なしで公開された。
 PCA-9 では GPS なしでもそれ以上の精度を確保できるチップサイズの原子時計と発展型の INS が上げられ ている。
 PCA-21 には長距離打撃システムPCA-22 には高速巡航 ミサイルPCA-23 には超高精度二次被害低減弾PCA-25 には攻撃 /防御用の DEWPCA-25 には非核の地中攻撃弾が挙げられている。
2010.09.13 Aviation Week & ST Cruise control <1010-091304>
 インド1,000kmMach 3.2 で飛翔するラムジェット推進 CM である LRCM を開発しており、2014~2015年に飛行試験を開始する。 LRCM は超高速の BrahMos-2 や亞音速の Nirbhay とは明らかに別の計画で、形状はフランスの ASMP-A に似ている。
 射程300km、Mach 5~8 の BrahMos-2 の開発は、印露政府が民間ベースの技術協力を凍結した状態にある。 一方 Su-30MKI から発射する BrahMos-A の発射試験は2012年に計画されている。
2007.08 Jane's Missiles & Rockets Raytheon proposes supersonic Tomahawk <0717-080006>
 Raytheon社が18ヶ月に及ぶ自社研究で、Mach 2.0~2.2 の高速で520~565nmの射程 を持つ Tomahawk が可能との結論を得、海軍に提案している。
 超音速 Tomahawk は現有 Tomahwk との共通性を最大限求めることにより安価に実現でき、もしFY-10に予算化 されればFY-16に運用開始が可能であるとしている。
2007.06.18 Aviation Week & ST High-speed shortcut <0714-061808>
 Raytheon社は Supersonic Tomahawk の自社研究を約18ヶ月にわたり行っており、近日中に 海軍 ONR に開発 を提案する。
 提案では現有の Tomahawk とほぼ同一寸法の設計で既存の発射管を使用する。  巡航速度をこれまでの Mach 0.8 を Mach 2~2.5 に上げる代わりに射程は短くなり1,000nmから 600~650nmとなる。 また、現有の Tomahawk は GPS/INS と DSMAC システムを使用しているが、超音速型に は終末誘導に AESA レーダを使用する検討も行われている。
 ONR は超音速ミサイルに関心が高く、Lockheed Martin社の RATTLRS、Boeing社の HyFly が予算化されており、仮に2010年までに予算化すれば2016年には Supersonic Tomahawk の装備 化が可能となる。
2006.12 Jane's Missiles & Rockets M51 tests set to begin on schedule <0703-120014>
 フランスの SLBM である M51 の発射試験は2006年に開始され、模擬弾頭を搭載した発射試験は2007年、模 擬水中発射試験は2008年、実艦による水中発射試験は2010年に計画されている。 仏海軍は 2015年までに4隻保有する SSBN 全てに M51 を搭載する。
 M51 の性能は公表されていないが、報道によると6個の弾頭を搭載し射程は7~10,000km 、発射重量は54~56tである。
 一方フランスのもう一つの核運搬手段である ASMP-A 2008年12月に Mirage 2000N に装備され実戦配備される。 ASMP-A の射程は高々度発射で350+km、低高度発射で 90+kmと報じられている。
2006.09.25 Aviation Week & ST Missile gap <0620-092507>
 フランスの次世代 SLBM M51 は計画通り2010年7月の装備化を予定し、2009年に潜 水艦発射試験を行う。 M51 は現有のM45よりも大型で6個の核弾頭を搭載し、射程は6,000~8,000kmである。
 一方、核弾頭 ALCM の ASMPA 装備化は1年遅れて、2008年12月から Mirage 2000N 及び Rafale F3 部隊に配備される。
 ASMPA は300ktの核弾頭を搭載する現有 ASMP の改善型で、高々度飛行時の射程は350kmで速度は Mach 3、低高度では射程90kmで速度は Mach 2 である。 2001年に開発を開始、2005年に発射実験を行っている。
2006.02.20 Defense News Nuclear missile tested <0606-022005>
 フランスは1月23日に、核搭載ミサイル ASMPA (Air-Sol Moyenne Portee Ameliore) の空中 発射試験を、Mirage 2000N 試験機により初めて実施した。
 ASMPA は MBDA社が開発する中距離核ミサイルで、Rafale F3 に搭載する計画であり2008年 の運用開始を予定する。
2005.08.03 Jane's Defence Weekly USN outlines new weapon initiatives <0516-080302>
 米海軍が FY-07に持ち出す以下のような新たな兵器計画を検討している。 対舟艇には40~50隻の同時攻撃を 想定して、多層防御を考えている。
SLLE UAV (Ship-Launched Long-Endurance UAV)
 艦上発射で汀線から200nmの航続と12時間の滞空能力
High Speed CM
 500nmを Mach 4 で飛行し、緊急対処目標に15分で到達。 弾頭重量は136kg。 目 標情報は UAV 又は衛星による。 データリンクで情報を更新し、移動目標の攻撃も可。 将来はマルチモード シーカの搭載も。
LOGIR (Low-Cost Guided Imaging Rocket)
 対舟艇外層防御用のミサイルで Hydra 70 ロケットに EO/IR シーカを取り付けたもの。 MH-60S ヘリに 18発入りのポッドを2個(36発)ずつ搭載。
Spike
 対舟艇近距離防護用
RGM-84 Harpoon Block Ⅲ
 Block Ⅱ のシーカを更新し、データリンク、GPS/INS を取り付ける。
2005.05.11 Jane's Defence Weekly Upgraded Indian 'Kilo' launched <0511-051108>
 インドが保有する10隻の 'Kilo' 級ディーゼル潜水艦を近代化する工事のうち、2002年8月に開始された SindHughoh の改修が ロシアの造船所で完了し進水した。
 'Kilo' 級潜水艦は6本の533mm魚雷発射管を装備するが、この改造で14発の魚雷と4発の Club-S 巡航ミサイル を搭載することになった。
 Club-S 巡航ミサイルの射程は200km前後で、水中、水上の目標のほか、対地攻撃能力も有する。
【註:】
 ロシアの Club-S(Klub-S との記述もある)巡航ミサイルには対艦用の 3M-54E1 と対地用の 3M-14E があり、 水深35~40mで魚雷発射管から発射される。 高度20mを飛行し、目標に近づくと高度5~10mに降下して接近する。
 巡航速度は亜音速モードで Mach 0.6~0.8、超音速モードで Mach 2.9 である。
2005.05 International Defense Review Forces overcome the obstacles of new-generation cruise missieles <0510-050012>
= 各種最新巡航ミサイルの6ページにわたる特集記事 =
Storm Shadow
 イラク戦争で27発を使用した。 同一目標に異方向から2発を発射したところ、2発目が1発目の開けた穴に飛 び込んだ例があった。
 Broach 弾頭は目標を完全に破壊しても外観上小さな丸い穴を開けるだけなので、戦果評価がしにくい。
AGM-158 JASSM
 2009年以降生産分にはデータリンクを搭載するため ACTD を進めており、2008年に試験が予定されている。
AGM-158B JASSM-ER
 原型と同寸であるが多くの燃料を搭載し、エンジンも新型に変えることにより、射程を 1,100kmに延伸する。 量産機は2007年始めに発注される Lot 6 生産分からで、2008年には配備される。
 その他に大きさを爆撃機、戦闘機搭載の限界まで大型化し射程を1,850kmとする JASSM-XR や、F-35 JSF に搭載可能な小型 JASSM も検討されている。
AGM-84K SLAM-ER
 豪空軍が次期スタンドオフ兵器 FOSOW として検討しているほか、韓国が F-15K 搭載用に採用した。 米海軍 も F/A-18E/F 及び P-8A MMA 用に500発を追加発注した。
Taurus KEPD 350
 Storm Shadow と類似の CM であるが、中間誘導に IR 画像照合誘導が使用でき、GPS なしでも使用できる。  また搭載する Mephisto 弾頭は BROACH 同様の二段式であるが、実用弾として初めて PIMPF (Programmable Intelligent Multi-Purpose Fuze) を使用している。
Tactical Tomahawk
 双方向衛星利用データリンクを搭載するのが特徴で、1,650kmの全飛行経路で発射プラットフォームと連接さ れる。 目標空域を遊弋しての策敵が可能で、戦果判定のための画像送信もできる。
RATTLRS
 RATTLRS (Revolutionary Approach to Time-Critical Long Range Strike) はかつて IHPTET (Integrated High Performance Turbine Engine Technology) と呼ばれていた計画の延長にあり、タービンエンジンで Mach 4 以上を実現しようとする ものである。
 2007年3月から2008年3月までに、少なくとも3回以上の飛行試験が予定されている。
Scramjet 推進巡航ミサイル
 Scramjet 推進巡航ミサイルの実用化はまだかなり先である。
 HyFly は DARPA が Boeing社等と Mach 6 を目指し開発を進めている scramjet 巡航ミサイルである。
 Mach 6~7+ を目指す SED-WR (Scramjet Engine Demonstrator-WaveRider) の契約は2004年1月に P&W社と空軍で行われた。 最初の飛行試験は2008年12月に予定されている。
2005.04.18 Aviation Week & ST Meteorit spotting <0509-041803>
 ロシアの MPO Mashinostroyenia社が戦略巡航ミサイル Meteorit の空中発射画像を公開した。(右図)
 空中発射型 Meteorit の制式名はおそらく Kh-80 で、画像は Tu-95 Bear の内部弾倉から投下されたもの である。
 開発は1970年代に始まり1990年代前半に終了しており、Tu-95MA からの投下試験は過去20回行われている。
 Meteorit はターボジェット推進の超音速巡航ミサイルで、射程数千km、空中発射 型以外に艦載型及び潜水艦搭載型があり、Marabu プラズマ磁界発生システムの装備により RCS の削減を図っている。
2005.04 International Defense Review Modern navy missiles march on <0508-040007>
= 対艦ミサイルの趨勢に関する記事 =
 近年、海軍の作戦海域が沿岸海域に移ったため、高性能対艦ミサイルへの要求は薄らいできたが、依然として主要な水上艦は対艦ミサ イルを装備しており、一部は地対地攻撃能力を持つようになっている。
Exocet MM40 Block 3
 turbojet 化により射程を180kmに倍増。 J-band シーカ搭載。 対地攻撃能力を付加。 2006年運用開始
Otomat Mk2 Block Ⅳ
 射程150km、弾頭重量210kg。
Harpoon Block Ⅱ
 JDAM の INS と SLAM-ER の GPS 受信機搭載。
RBS15 Mk3
 high-Ku-band シーカ、弾頭200kg。
Penguin Mk2 Mod 7
 射程55km ・NSM (Naval Strike Missile)
 2005年開発完了予定。 発射重量400kg以上、射程200km。
BrahMos PJ-10
 2004年12月21日に行われた最新の試験では地対地能力を検証。
2005.04 Jane's Missiles & Rockets India starts hypersonic demonstrator work <0511-040023>
 インドの DRDO (Defence Research and Development Organisation) が2月11日に、スクラムジェットを用いた高速飛 翔体2008~2010年に飛行させる研究を開始したと発表した。
 これは将来の full-scale 飛翔体開発への長期計画開始を狙うもので、特定の応用は考えられていない。
2005.03 Jane's Missiles & Rockets Boeing proposes weapon-armed mini-shuttle <0507-030019>
 Boeing社がロケットで打ち上げられ、従来 CM が目標としていた戦術目標に爆弾等を投下した、その後回収 再使用する RLV (Reusable Launch Veheicle) を提案している。
 Tomahawk 等の CM は速度が遅く、敵に撃墜される可能性が大きい。 またエンジン、機体は再使用できず無駄になる。
 RLV はロケットで高度100,000ft以上に打ち上げられ、速度も Mach 3 以上になる 。 その後 RLV は超高速を保って滑空飛行を行い、敵上空で爆弾等を機体尾部から後方に投下する。 爆弾等 の投下後は味方空域に戻り、減速した後に着陸する。
2004.11 Jane's Missiles & Rockets Improved Kh-31 to begin state trials in 2005-06 <0502-110013>
 2002年1月24日にロシアの大統領令で設立された Tactical Missiles Corporation が、Kh-31A/P の 改良型である Kh-31AM 及び Kh-31PM を開発中で、1~2年以内に正式な国の試験を受 ける。
 いずれも新型の推進装置 31DP を搭載して、最大速度が Mach 4.5 になると共に、射程も伸びる。
 Kh-31P は Nike Hercules、Improved HAWK、Patriot に対抗する ARM で L-111、L-112、L-113 の3種類のシ ーカの何れかを搭載したが、Kh-31PM は改良された多帯域 L-130 シーカを搭載して、各種の電波源を攻撃でき る。
 アクティブレーダホーミングの Kh-31AM は対妨害性などの性能を向上させた RCS-31 アクティブシーカを搭 載する。
2004.08.16 Inside the Navy Lockheed,Boeing win RATTLRS phase-two development awards <0421-081602>
 米海軍は先月、RATTLRS (Revolutionary Approach to Time-critical Long Range Strike) 開発の第二段階に Lockheed Martin と Boeing両社を選定した。
 RATTLRS は海空軍と NASA の統合プロジェクトで、構想設計研究である第一段階には、両社のほかに Raytheon、Orbital Science社が 3月に選定されていた。
 RATTLRS は Mach 4 で15分以上飛行するタービンエンジン搭載の飛翔体で、航空 機や艦船、潜水艦から発射する兵器の他、再使用可能な打ち上げ機への応用が期待されている。
 試作機の発射試験は契約から2年後を予定し、少なくとも3回の試験で Mach 3 以上、5分間の飛行を目標とす る。
【註:】
 RATTLRS は技術検証機であり、そのまま兵器になるものではない。 タービンエンジンで飛行し、亜音速から Mach 3.0 までターヒン エンジンだけで1分以内に加速することが求められている。
 RATTLRS には戦術兵器への発展を見越したサイズが求められ、1,800-lbの発射重量、500-lbのペイロードを持ちF/A-18、F/A-22、JSF などへ搭載できるサイズと、発射重量3,400-lb、ペイロード750-lbでブースタを用いて艦船の VLS から発射するものが考えられている 。
 RATTLRS を元にした実用機には Mach 4 で15分以上飛行する事が求められる。
2004.08 Jane's Missiles and Rockets China7S Type 052C destroyer armed with new anti-ship missile <0417-080015>
 中国が、建造中の Type 052C 駆逐艦に、新型の対艦ミサイルを搭載する模様である。
 同艦には全長8~10m、胴径1.5mのキャニスタ4基を束ねた発射機が2ヶ所に設置されている。 これは C-803/YJ-82 を装備する Type 052B のものとは異なる。 中国は対地攻撃型もある C-XXX を開発中と伝えられていた。
 1999年に中国は、Kh-15 (AS-16) と良く似た対地攻撃巡航ミサイルの模型を公表しており、また別に全長6m、 胴径0.52m、発射重量1,600~2,000kgで、150~410kgの弾頭を搭載して400km飛行する、超高速巡航ミサイルを開発中 とも伝えられている。
(関連記事 AW&ST 2004.05.31)
2004.05.17 Aviation Week & ST Price of persistence <0410-051706>
 米空軍内部で、対地攻撃兵器の開発を巡り高速兵器と滞空索敵兵器のどちらを優先するかで論争が行われてい る。
 空軍研究所 (AFRL) は Area Dominance 構想により敵地に滞空索敵し攻撃する、Air Dominator の研究を進め ているが、将来構想を策定する空軍兵器センター (AFAAC) は高速精密誘導兵器の有効性を強調し、論争が繰り広げられている。
2004.04.19 Defense News BraMos aims for No.1 spot <0411-041906>
 超音速巡航ミサイルを開発製造するインドとロシアの共同出資会社 BraMos Aerospace は、2007年までに年商$1Bのア ジア最大のミサイルメーカーとなることを目指している。
 BraMos は1999年7月から開発を開始した対艦巡航ミサイルで、対地攻撃用にも転用が可能 とされる。 ミサイルは海上、地上及び航空機のいずれからも発射可能で、200~300kgの非核/核弾頭を 搭載し、射程は350km以上と推測されている。
 同社は製造価格と数量を明らかにしていないが、インド軍の他、豪州、マレーシア、シンガポール等に向け2,000発以 上を製造するとみられる。
2004.03.01 Aviation Week & ST Hyper activity <0405-030104>
 ロシアは米国のミサイル防衛に対抗する ICBM の開発にスクラムジェットを採用する方針である。
 ソ連時代からスクラムジェットを最終段階に用いる戦略ミサイルに関心を示しており、1995年に公開された Raduga 設計局の Kh-90/GELA はその1つである。
 Kh-90 はスクラムジェットを搭載し、Tu-95 Bearから空中発射するミサイルで速度は Mach 5 とされるが、 多くの問題を抱え計画は難航している。
 ロシアはスクラムジェットを使用して理論的には Mach 10 のミサイルが可能とし、速度変化、旋回性及び非 弾道軌道は、既存の ICBM と全く異なるため、米国の BMD に充分対抗できるとみている。
2004.02.23 Defense News NASA seeks hybrid turbine-ramjet <0407-022304>
 NASA は戦闘機、巡航ミサイル及び長距離偵察機にも応用できるハイブリッド turbine-ramjet の開発を5年間 、$55Mの予算で行っている。
 RTA (Revolutionary Turbin Accelerator) と呼ばれるエンジンは、turbine エンジンと ramjet の切り替え使用 により、離陸から8分以内に Mach 4 まで加速することができる。
 技術課題は1,600度を越える高温の耐熱処理で、空気吸入口付近の温度は F/A-22 の8倍 に達する。
 NASA は試験用 RTA-1 エンジンを2006年までに完成させ、飛行試験用 RTA-2 による飛行試 験を2010~2011年に計画している。

  ① fan
  ② core-drive fan
  ③ compressor
  ④ vent channels
  ⑤ combustion chanber
  ⑥ turbine
  ⑦ hyperburner
2004.01.28 Jane's Defence Weekly USAF focuses on future long-range strike planes <0403-012806>
 米空軍は来年にも、次世代長距離打撃能力をどうするかの検討に入る。 2040年頃に退役すると見られる B-1B、B-2A、B-52H などの後継についての検討は今までも続けられているが、2003年12月に行われた長距離打撃に関する首脳会議では、 約20件の案が抽出された。
 一案には超高速ミサイル、有人/無人機、宇宙とを往復する武器投射システムの組 み合わせがあがっている。
 また、近未来的には F/A-22 Raptor や FB-22 などが考えられている。
2004.01 International Defense Review DARPA and the USAF move ahead with FALCON <0401-010001>
 米空軍と DARPA は FALCON (Force Application and Launch from the Continental US) 計画の第1段階とし て、Task 1 に9社、Task 2 に3社を選定した。 この契約期間は6ヶ月間で、その結果を見て設計、試作を行う36ヶ月間の Phase Ⅱ 移行 の是非を見極める。
(関連記事:IDR 2003/08
 Task 1 では$350,000~$540,000で、SLV (Small Launch Vehicle) の概念設計、性能見積、目標価格、開発計画の検討を行う。
 Task 2 では$1.2M~$1.5Mで、計画の HWS (Hypersonic Weapon Systems) の検討を行う。 HWS には CAV (Common Aero Vehicle)、ECAV (Enhanced CAV)、 HCV (Hypersonic Cruise Vehicle) が含まれる。
 SLV 450kgの小型衛星か弾頭を低高度衛星軌道に打ち上げられるも ので、単価は$5M以下。
 CAV 450kgの弾頭を3,000nmの距離まで運搬する非 推進式の超高速滑空機。
 ECAV は CAV の飛行距離及び運動能力を向上させたもの。
 HCV は在来型の滑走路から離陸して、9,000nmを2時 間以内に飛行できる自動航空機。
2003.10.20 Inside the Navy Hypersonic,supersonic weapons becoming a DoD research priority  ミサイルの超音速化が DoD の装備研究の優先事項となっているが、海軍も来年以降に超音速ミサイル開発を 計画している。
 海軍の超音速ミサイルは空中、海上及び潜水艦から発射できる Mach 4~Mach 5、射程300~600mileのミサイ ルで、候補に SHOC (Standoff High-speed Option for Counterproliferation) があがっており、2005年の ACTD に採用するものとみられる。
 海軍 ONR はまた、DARPA と共同で Mach 6 以上の超音速ミサイル技術研究 HyFly 計画 を進めており、2012年の実用化を目指している。
2003.09.08 Aviation Week & ST Precision pursuit  ロシアの Region社はこのほど、誘導爆弾 KAB 系列の KAB-500S-E、LGB-250 (右図) 及び KAB-1500LG の改善を行っ ていることを明らかにした。
 KAB 系列にはレーザー誘導が用いられているが、KAB-500S-E は GPS 誘導方式で、LGB-250 は米の Paveway に似た誘導爆弾とされる。
 また、KAB-1500LGには高性能爆薬の他に、侵徹弾頭型及び燃料気化弾頭型等のオプ ションが加えられた。
 また NPO Mashinostroenia社は 3M-55 Onix (Yakhont: SS-NX-26) 対艦巡航ミサイルのモックアップを 公表した。
 3M-55 は対地攻撃用の派生型で、重量2,500kg、空中発射され、射程は300km、速度は750m/s。 同社はインド とマレーシアに輸出する意向を示している。
 同社はまた、空軍の要求に応じ、Kh-31P (AS-17A Krypton) 射程を延伸し 、パッシブシーカーを搭載する対レーダーミサイル Kh-31PM の開発を検討している。
2003.08.13 Jane's Defence Weekly Taiwan unveils supersonic missile  台湾の CSIST が開発中の Hsiung Feng Ⅲ (HF-3) 超 音速対艦ミサイルの一部の情報が公表された。
 それによると機体は固体ロケットブースタ付きのラムジェット推進で、その形状は1999年に公表された風洞試験のモデル(右図上)と そっくりである。
 HF-3 は誘導装置を替えることにより、対地ミサイル、ARM、としても使用可能であり、同ミサイルを使った超 音速標的機の開発も行われている。
2003.06 International Defense Rwview SHOC and awe  SHOC (Stand-off High-speed Option for Counterproliferation) ACTD計画を FY-04に開始することが DoD で承認された。
 SHOC 計画は、FLAM (Future Land Attack Missile) 開発の risk-reduction となるもので、FLAM は DD(X) 等の戦闘艦艇や F/A-18 に搭載が計画されている。
関連記事 AW&ST 2002.12.02
2003.01.27 Inside the Army Army pursing hypersonic missile for Objective Force requirements  米陸軍はスクラムジェット推進を用いた超音速ミサイル HyDAS (Hypersonic Deep Attack System) の開発を検討している。
 ロシアは最近、長射程超音速ミサイルの発射試験に成功した模様で、陸軍には現在超音速巡航ミサイルや、低空で飛来する高速ミサイ ルに充分に対処し得る装備はない。
 陸軍の構想では、HyDAS は ATACMS 規模のミサイルで、速度は Mach 7 以上とされ Objective Force の次世代兵器として最終的には FCS の 120mm 砲から発射することを狙っている。
 炭化水素燃料のスクラムジェットは、2008年頃に Mach 4~7 が、水素燃料では2012年頃ま でに Mach 12 が実用化される模様だが、軍は2009年には HyDAS の地上燃焼試験を、2012年に発射試験を行いたいとしている。
2002.08 Jane's Missiles & Rockets MBDA France to test supersonic, hypersonic powerplants
= フランスで開発中の超高速ミサイル用エンジンの概要紹介記事 =
Vesta
 戦略 ASM ASMP-A 用のインテグラルロケットラムジェット。 9月に初飛行予定。 Mach 3。
Rascal
 対レーダ、対地、対艦ミサイル用の液体燃料ラムジェット。 低空で Mach 2 ~ 2.5、高度20,000mで Mach 3.2 ~ 3.7。
ramjet/scrajet Rascal
 ASMP-A 後継戦略 ASM 用のエンジン。 scramjet モードで Mach 6 以上。 高々度超高速偵察用 UAV への応用も検討中。
PREPHA
 水素燃料デュアルモードスクラムジェット
Chamois
 Mach 6.5 のスクラムジェット。 地上試験を実施済み。
WRR (Wide-Range Ramjet)
 低速ではケロシン、高速では水素を燃料。 Mach 2 ~ 12。
Promethee
 Mach 2 ~ 8 の炭化水素燃料 fully-variable ラムジェット。 テスト機は全長 5m~6m。
MARS
 Mach 4 で飛行する空中発射ミサイル。 陸上発射 UAV としても検討中。 全長 5m~6m。