2008年以降の Kh-31 に関する報道

年 月 日
出   典
標       題
要             旨
2018.10.31 Jane's Defence Weekly Egypt shows MiG-29 with Kh-31 missiles <1812-103112>
 エジプト空軍がMiG-29M/M2Kh-31超音速ASMを搭載していることを示す画像が10月19日に公表された。
 写真ではKh-31が対艦型のKh-31ADなのかARMであるKh-31PDなのかは定かではない。 いずれにせよ高高度で発射すれば 250kmは飛行できる。
2013.08.21 Jane's Defence Weekly Report reveals Emirati Kh-31 contract <1310-082112>
 UAEKh-31 (AS-17) 超音速対艦ミサイルの導入を計画している。 導入するのはアク ティブ誘導の Kh-31A とパッシブ誘導の Kh-31P で、$14Mでロシア TMC社から購入し、2014~2015年に取得 する。
 Kh-31 は高度15kmから発射すれば70kmの射程を有する。
2013.08.10 Yahoo 新華網記事

「中国がロシア企業から1億ドル超のミサイル購入、2012年に=中国メディア」

<1309-081001>
 ロシア TMC社が公表した受注状況報告によれば、2012年に中国やインド、ベトナムなどから大量の 各種ミサイルを受注した。 中でも中国のロシアからのミサイル購入額は$100Mを超える。
 中国が購入したのは Kh-31A と関連装置$50Mと、Kh-59MK $50Mなどで、2015年までに引き渡される。 さらに中国は他のロシア企業と2件、 計$25.2Mのミサイル購入契約を交わしている。
【註】
 Kh-31A は射程が100km以上で、高高度モードでは Mach 3.0、低高度モードでは Mach 2.5 で飛行する超音速対艦ミサイルである。
 Kh-59MK は中国向けに開発された Kh-59M (AS-18) で、射程185kmの対艦ミサイルである。 ロシアはまた、射程を285kmに延伸した Kh-59MK2 も開発している。
【 Kh-59MK2 関連記事:0911-100001 (JMR 2009.10)】
2007.10 Jane's Missiles & Rockets Russia's Tactical Missile Corp unveils air-to-surface missiles at Moscow air show <0721-100019>
 MAKS 航空展で TMC社 (Tactical Missile Corporation) が三種類の ASM を公表した。
Kh-31AD
 Kh-31 (AS-17) の長射程型で射程は200km程度と見られ、Kh-31 が全長 4.7mに対して5m以上である。 シーカは同じ U-505 レーダシーカである。
 Kh-31A の長射程型は Kh-31AM が知られていたが、Kh-31AD は Kh-31AM と同じ設計であるという。 Kh-31P の長射程型は Kh-31PMK として報じられた(JDW 2006.04.12)が、K とは輸出型の意味のほか中国型の時にも使用されている。
Kh-58UShKE
 Kh-58 ARM の輸出仕様で2003年に Su-30MKK 用に開発された Kh-58UShE の折りたたみ翼型である ことから、次世代戦闘機 PakFa か爆撃機の機内弾庫搭載用と見られる。
Kh-38ME
 Kh-25 (AS-10/AS-12) や Kh-29 (AS-14) の後継となる新型 ASM で、先端部に 9B-7738 と書かれている EO シーカを搭載している。
2007.09.05 Jane's Defence Weekly TMC shows trio of new ASMs <0719-090509>
 ロシアの TMC社が2007モスクワ航空展に三種類の新型 ASM を展示した。
Kh-31AD
 Kh-31A (AS-17) 対艦ミサイルの長射程型で全長も若干長い。 性能は Kh-31PMK とほぼ同じで、最大射程は200km程度と考えられる。
( Kh-31PMK 関連記事 JDW 2006.04.12)
Kh-58UShKE
 Kh-58 ARM (AS-11) の輸出用
Kh-38ME
 10程以前から開発されているモジュラ型 ASM EO シーカを搭載している。 現 有の Kh-25 (AS-10/AS-12) や Kh-29 (AS-14) の後継と思われる。
2006.12 Jane's Missiles & Rockets Russia's TMC umveils new version of Kh-31 ARM <0703-120003>
 ロシアの TMC社が、Kh-31P の新型である Kh-31PK の詳細を公表した。 Kh-31PK は従来と 同じ推進装置を装備するが新型の近接信管、改良型弾頭、Block 27M 型のシーカを搭載し、 マスト搭載型の捜索レーダに対抗できる。 改良の結果 Kh-31P に比して20~40%目標撃破確率が向上 した。
 長期的には Kh-31P は L-111/-112/-113 シーカと互換の L-130 新型マルチバンドシーカを搭載する Kh-31PM に換装される計画で、TMC社によると Kh-31PM の開発は最終段階 にあり、2006年か2007年に国の試験が開始される。
(関連記事 JDW 2006.04.12)
2006.05.29 Aviation Week & ST Missile movement <0612-052905>
 DoD が公表した2006年度版中国の軍事力によると、軍の近代化と戦闘能力の向上は着実に前進している。
SAM
 S-300PMU2 を購入し今年から運用する。 また、Luzhou 級駆逐艦に S-300FM (SA-N-20) と Tomstone フェーズドアレーレーダ を装備し対空能力をこれまでの二倍以上向上している。
ICBM
 DF-31 の開発を終了し今年から運用する。 また、射程を11,270kmに延伸した DF-31A の開発もほぼ完了し、来年には運用を開始するとみられる。
SLBM
 JL-2 の開発も早まっており、2010年には運用を開始すると見積もられる。
SRBM
 SRBM の配備数は710~790発に増加している。 また、弾道弾の発射試験が2005年以降増加している。
LACM
 各種 LACM の開発計画が進められており、DH-10 の開発が注目される。
ASCM
 空母による作戦戦闘能力の向上を図るため、SS-N-27B Sizzler を購入したほか、Su-27 や Su-30MK2 用に AS-17/Kh-31 の装備を進めている。
戦闘機
 J-10 基本型の開発は終了し、改善型である F-10A 及び Super-10 の開発が進行中で、1,200機以上を調達するとみられる。 また、PL-12 (SD-10) の発射試験が現在行なわれ ている。
2006.04.12 Jane's Defence Weekly Kh-31PMK could deliver even more lethal SEAD <0609-041203>
 ロシアが Kh-31P の新型である Kh-31PMK の試験を行っている。 Kh-31PMK は Kh-31P より全長が 長く、200kmの射程を延伸するなど、SEAD 兵器としてのの能力が向上している。
 原型の Kh-31P は周波数帯域ごと別の三種類のシーカヘッドを付け替えるようになっていたが、シーカを製造した CKBA社が 一種類で全帯域をカバーするシーカ L-130 を開発していた。 Kh-31PMK はこのシーカを搭載していると見られ る。
(関連記事 JMR 2004.11)
2005.08 Jane's Missiles & Rockets China could be producing Kh-31P anti-radiation missile <0516-080021>
 中国が Kh-31P ARM を国産している模様である。 中国産 Kh-31P は YJ-93 (Yingji-93) 又は KR-1 と呼ばれ、既に第3航空師団の Su-30MKK に装備さ れている。
 Kh-31P のシーカには L-111、L-112、L-113 の3種類があるが、最初の200発は中国仕様の L112E としたロシア製のシ ーカを搭載している。
 中国産 Kh-31P は最新型の Kh-31PD と見られるが、Kh-31PD は射程が100kmから150km に、発射重量は700kgから800kgに、弾頭重量は90kgから100kgに増大している。
2004.11 Jane's Missiles & Rockets Improved Kh-31 to begin state trials in 2005-06 <0502-110013>
 2002年1月24日にロシアの大統領令で設立された Tactical Missiles Corporation が、Kh-31A/P の 改良型である Kh-31AM 及び Kh-31PM を開発中で、1~2年以内に正式な国の試験を受 ける。
 いずれも新型の推進装置 31DP を搭載して、最大速度が Mach 4.5 になると共に、射程も伸びる。
 Kh-31P は Nike Hercules、Improved HAWK、Patriot に対抗する ARM で L-111、L-112、L-113 の3種類のシ ーカの何れかを搭載したが、Kh-31PM は改良された多帯域 L-130 シーカを搭載して、各種の電波源を攻撃でき る。
 アクティブレーダホーミングの Kh-31AM は対妨害性などの性能を向上させた RCS-31 アクティブシーカを搭 載する。
2004.
  Summer
Interavia Halfway to Pak Fa <0416-070001>
 Sukhoi社は2007年の装備化を目指し、Su-35BM (Bolshaya Modernizatsiya;Major Modernization) 戦闘機の 開発を開始する。
 Su-35BM は、運用中の Su-27SM 及び Su-30MK と、2011~2012年の装備化を目指す第五世代戦闘機 Pak Fa の中継ぎとなる第四世代++戦闘機として開発される。 Canard 翼のない形状は Su-35 よりも Su-27 に極めて似通っている。
 Su-35BM の仕様については細部明らかにされていないが、2基のターボファンエンジンを搭載し、重量は Su-27 とほぼ同様の16.5t、 最大離陸重量は38.8tと推定される。 また、搭載燃料は最大10tとされ、空中給油機能を保有するとみられる。
 兵器搭載重量は約8tと推定され、合計12ヶ所のパイロンにの超音速対艦ミサイル Onyx-A (Yakhont-M、Brahmos-A:全長8.5m、重量2,550kg、最大射程500km以上) のほか、 射程300kmの Ks-172 AAMKh-31M、R-74M AAM 及び R-77M AAM を装備すると みられる。
 また、翼端には数年以内に開発を終了する自己防衛電子戦装置 Khibiny-M (L175M) を装備する。 この他に 、コックピットには大型の多機能液晶表示装置2基を採用し、パイロットは Helmet-mounted sight を使用する。
2004.03 Jane's Missiles & Rockets Novator offers a redesigned KS-172S-1 long-range AAM <0409-030001>
 昨年末に Sukhoi社が、翼下に2発の KS-172S-1 超長距離 AAM を搭載した Su-35 の模型を展示した。 今回展示された模型は10年前に 展示されたモックアップと形状が異なるが、寸法等は全長6m、発射重量は700kg、胴径40cmとほぼ同 じである。
 KS-172S-1 は S-300V (SA-12) システムで使われている 3M83 弾の第2段をもとに開発され、 射程はロシア軍向けが400km、輸出用が300kmと言われている。
 展示された Su-35 の模型は、胴体中央部2基のエンジンの間に Yakhont-M ASM を1発、そ の外側左右エアダクト下に Kh-31 ASM を各1発、左右の翼下内側に KS-172S-1、外側に R-77 AAM と、 AAM 4発、ASM 3発、計7発のミサイルを搭載している。
( 関連記事 AW&ST 2003.12.22 )
2004.02 International Defense Review First upgraded Flankers have enterd service <0404-020008>
 最初の Su-27SM 5機をロシア空軍に引き渡す式典が、空軍副参謀総長が列席して行われた。
 Su-27SM は中国向けに製造された Su-30MKK で使用された技術を利用して、旧型の Su-27 を改造するもので、この結果 Su-27 は輸出 型の Su-30MKK や Su-30MKI 並の能力を持つことになる。
 特に N001V レーダの近代化により、空対空捕捉能力が80~100kmから135~150kmに延伸するほか、目標の 種類の識別、集団目標から1目標の抽出、ホバリングヘリの表示が可能になり、 空対地能力も向上する。
 この結果 Su-27SM は、以下の兵器が搭載できるようになる。
  ・Kh-31A 超音速対艦ミサイル(射程70km)
  ・Kh-31P ARM(射程110km)
  ・Kh-59M TV 誘導 ASM(射程115km)
  ・Kh-29T TV 誘導 ASM(射程8~12km)
  ・KAB-500Kr 誘導爆弾
  ・KAB-1500Kr 誘導爆弾
  ・R-77,R-77M ARH AAM
 ロシアは現在400機の Su-27 を保有している。
2003.09.08 Aviation Week & ST Precision pursuit  ロシアの Region社はこのほど、誘導爆弾 KAB 系列の KAB-500S-E、LGB-250及び KAB-1500LG の改善を行っ ていることを明らかにした。
 KAB 系列にはレーザー誘導が用いられているが、KAB-500S-E は GPS 誘導方式で、LGB-250 は米の Paveway に似た誘導爆弾とされる。
 また、KAB-1500LGには高性能爆薬の他に、侵徹弾頭型及び燃料気化弾頭型等のオプ ションが加えられた。
 また NPO Mashinostroenia社は 3M-55 Onix (Yakhont: SS-NX-26) 対艦巡航ミサイルのモックアップを 公表した。
 3M-55 は対地攻撃用の派生型で、重量2,500kg、空中発射され、射程は300km、速度は750m/s。 同社はインド とマレーシアに輸出する意向を示している。
 同社はまた、空軍の要求に応じ、Kh-31P (AS-17A Krypton) 射程を延伸し 、パッシブシーカーを搭載する対レーダーミサイル Kh-31PM の開発を検討している。
2003.06.11 Inside Missile Defense Navy places order for 25 Russian-made anti-ship missiles  米海軍は艦隊訓練と艦船の自己防衛用システムの試験用に、ロシア製の Kh-31A 超音 速対艦ミサイル25発の購入を決めた。
 海軍はこの数年使用している標的 MA-31 を Kh-31 に代えて運用する意向で、対艦巡航ミサイル能力向上のためFY-04予算に89発の NULKA 対艦ミサイルデコイも併せて要求している。
2002.09.04 Jane's Defence Weekly Russia may renege on missile deal  ロシアは Boeing社との、Kh-31A Mod 1 超音速対艦ミサイルの標的機型 M-31 売り渡 し契約の追加34発の契約を破棄する模様である。
 このミサイルは Boeing社が米海軍と1997年に$18.8Mで行った Kh-31A への対抗策研究に使われるもので、Boeing社は既に15発の引き渡 しを受けている。
 ロシアで問題になっているのは100発を$30Mで売却する契約で、ロシア政府は今までこの契約を認めていなかったが、後に緩和の方向に あった。
2001.02.28 Jane's Defence Weekly China to acquire anti-ship missiles  中国海軍はロシアとの間に、Kh-35 (AS-20) 長距離対艦ミサイルの購入契約を準備中である。
 Kh-35 は、最大射程130~140kmで、145kgの HE弾頭を搭載し、300m/sで飛行する。 中国は Su-30MKK 戦闘機 に搭載を予定している。
 中国はこの他、JH-7 戦闘機に Kh-31 (AS-17) 中距離対艦ミサイル及び KH-31P ARM の搭載を公表している。
2000.10.30 Defense News Successful THEL tests raise warning flag for US Arsenal  Kosovo での Operation Allied Force 作戦で、精密誘導爆弾が多大な成果を上げたのにかかわらず、米国の自 由落下型の PGM や地上攻撃用のミサイルの装備化に危険信号がともっている。
 この夏米国とイスラエルは THEL によるカチューシャロケット弾の要撃に成功した。 しかしながら中露も THEL と同じようなレーザ兵器の開発ができ、これが第3世界に輸出される可能性がある。
 カチューシャは Mach 3 で飛行するのに対し、JASSM (Joint Air-to-Surface Standoff Missile) は、180 nm を 22分で飛行する。(註:Mach 0.74 相当) 米国はレーザ兵器に対抗するため、超音速、 超低空巡航ミサイルを速やかに開発する必要がある。
 ロシアのシースキミング、ラムジェット推進対艦ミサイルの AS-17 (Kh-31) は、30ftの高度を Mach 2.7 で回避行動をしながら飛行することができる。 1997年に行われた実射展示では、 米海軍はもしこれを撃墜しようとしてもできなかった
 中国はロシア製の SS-N-22 Sunburn を装備しようとしている。 SS-N-22 は Mach 2.5 で飛行する巡航ミサイルである。 これらのミサイルであれば THEL タイプの兵器を回避できる可能性がある。