S-350 Vityaz MRADS に関する報道

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要             旨
2020.03.04 Jane's Defence Weekly Russia's VKS deploys first S-350 air defence system <2005-030404>
 ロシア国防省が2月26日、宇宙航空軍 (VKS) の防空部隊最初のS-350 Vityaz防空システムをレニングラード地区のGatchina演習場に展開したと発表した。 最初のS-350は2019年12月末にVKSに引き渡されていた。
 ロシアは2027年末までにS-350の発射機144基を装備する計画である。 ロシアの2018~2027年装備計画では、発射機12基を装備するS-350大隊12個をVKSに編成するとしている。
2019.07.15 Jane's 360 Russian SAM Troops deputy commander dubs S-350 ‘cruise missile killer’ <1908-071503>
 ロシア宇宙航空軍の副司令官が7月8日のSAM部隊の日に、現在装備しているS-300PS中距離SAMの後継となるS-350 Vityazはcruise missile killerであると発言した。
 副司令官によるとS-350の発射機はS-300やS-400の
TELに比べ3倍のミサイルを搭載でき、多方向からの同時攻撃に対処する能力を持つという。
 また昨年、BM-2 MRLから発射されたGradロケット弾や小型UAVを、Pantsir-S SHORADで撃墜する試験に成功しているという。
2019.05.22 Jane's Defence Weekly First S-350 Vityaz SAM to be deployed to Siberia <1907-052203>
 ロシア国防省が5月13日、4月12日に国の試験を完了したS-350 Vityaz
MSAM初号機をシベリアのクラスノヤルスクに配備すると発表した。 2号機はロシア西部の防空学校に納入される。 S-350は1980年代のS-300PSと換装される。
 S-350のシステムは50K6指揮装置×1、50N6 AESAレーダ×1、50P6発射機×6で構成され、短距離用の9M100弾最大48発中距離用の9M96弾最大12発長距離用の9M96M弾最大12発を発射でき、9M96及び9M96MはいずれもS-400と共用である。
 9M96Mを用いた場合S-350は射程120km射高30kmの性能を持ち、BMに対して射程30km射高25kmで交戦できる。
2019.05.15 Jabe's 360 First S-350 Vityaz medium-range SAMs to be deployed to Siberia <1906-051509>
 ロシア国防省が5月13日、最初の
S-350 Vityaz中距離SAMをクラスノヤルスクにある戦略的重要施設の防護のためシベリア中部に配置すると発表した。
 Almaz-Antey設計局が開発したS-350は1980年代に開発されたS-300PSシリーズの後継となる移動式の中距離SAMで、国の認証試験を4月12日に完了している。 S-350を装備する第24機動防空旅団は2017年にハカシア共和国の首都アバカンで発足している。
2019.04.24 Jane's Defence Weekly Serial production of S-350 SAM begins <1906-042408>
 Almaz-Antey社製50R6
S-350 Vityaz中距離SAMは3月26日に行われた発射試験の成功で政府の性能確認試験を終了し、量産に入った。
 量産1号機は今年後半にロシア宇宙航空軍に引き渡され、1980年代製のS-300PS (SA-10) と換装される。
2013.11 Jane's Missiles & Rockets Almaz-Antey desplays S-350E system <1312-110001>
 Almaz-Antey社が S-350E を構成する 50K6E 指揮統制車、50N6E
MFR、50P6E 発射機の、三種類の車両を公表した。 S-350E は輸出名称で同社は 50R6A と呼んでいる。
 MFR には40prmで回転する全周捜索モードと部分捜索モードがあり、100目標の追随と 8個の目標チャネル及び16個のミサイルチャネルがあり、システムとしては200目標の追随と16目標との交戦及び32発のミサ イルの誘導が可能である。
 9M96D-1 ミサイル420kg24kgの弾頭を搭載する。射程は1.5~60km 、射高は33~98,450ftで、弾道弾に対しては射程1.5~30km、射高6,500ft~ 82,000ftの覆域を持つ。
 S-350E の基本的なシステム構成は指揮統制車×1、MFR×2、発射機×8である。 発射試験は近く開始され、2014年には野外試験も開始されて2015年には配 備される。
2013.09.09 Aviation Week & ST Best defense <1311-090904>
 モスクワで開かれた MAKS 航空展で S-350E Vityaz のほか、Demonstrator BMD レーダのモックアップや、 Club-K 用のパッシブレーダや、それとよく似た Avtobaza-M(右図)が公開された。
 Demonstrator AESA アンテナは TPY-2 とよく似た形状をしているがバイスタティクレーダで、送受アンテナは光ケ ーブルで連接される。 このレーダは TYP-2 が X-band であるのに対し Ka-band で、RCS=1㎡の目標を 1,500kmで捕捉し、600kmで追随する能力を有し、精度は5mであるという。 Demonstrator は2018年に配備されることになっている S-500 が使用する可能性がある。
 Club-K 用のパッシブレーダは、AWACS を800km、対空巡洋艦を220~400km、衛星とのデータリンク交信中の潜水艦を30~90kmで捕捉できる。
【註】
 Demonstrator BMD レーダは5mという極めて高い精度を要求されていることから、Ka-band を採用したと見られるが、このため高い送信出力が得にくくなったことから、 パルスレーダではなく FM/CW レーダ又は ICW レーダになったのではないか。 CW タイプのレーダでは送受アンテナの共用ができないことから、バイスタティックになった と思われ、対ステルスレーダのように送受サイトを離隔して運用しないため、両者は光ケーブルで連結されるのであろう。
2013.09.04 Jane's Defence Weekly Russia unveils new S-350E SAM system <1310-090405>
 Almaz-Antei社が MAKS 2013 で初めて S-350E Vityaz を公開した。 S-350E の発射試験は2013年4/四半期に行われ、2014年には S-300 (SA-10) に代わって配備が開始されて、S-350/S-400/S-500 による三層防空 の一角を成す。
 S-350E の発射機 PU 50P6E は、射程1.5~60km、射高30,000m9M96E2弾を 12発搭載するが、同社はシステムの射程を120kmまで伸ばせることを示唆したという。
 S-350E の MFR 50N6E レーダは32目標の追尾ができ、中隊は16目標との同時交戦が可能であるという。
2013.08.27 毎日新聞

インターネット

ロシア:新型の対空ミサイル公開…国際航空ショー <1309-082705>
 ロシアが27日、モスクワ郊外で同日始まった隔年開催国際航空展 MAKS で、最新鋭の S-350 を初公開した。 S-350 は S-300 を大幅に改良したもので、BM 12発など複数の目標を同時迎撃できる能力を持つと いう。 戦闘準備までの所要時間を5分以内に短縮するなど機動性も向上している。
【註】
 S-350 は、かねてから Almaz-Antei社が開発を進めてきた Buk (SA-11/SA-17) に代わる中距離 SAM Vityaz と見られる。
 プーチン大統領は Vityaz を38個大隊整備することを明らかにしている。
2012.04 Jane' Missiles & Rockets Putin details SAM deployments <1207-040013>
 プーチン露首相が2月20日に発効される雑誌に、今後10年間にロシアは S-400 Triumf (SA-21) を28個連隊 (註:56個大隊)、Vityaz38個大隊整備することを明らかにしている。 Vityaz は Buk (SA-11/SA-17) に代 わる中距離 SAM と見られている。
 この記事より先に国防相第1次官が、Vityaz の最初の契約は2013年に行われことと、システムは S-300V4 弾を使用し発射機に16発 が搭載されると述べている。
2012.03 Jane's Missiles & Rockets Russian air force to receive Vityaz defence systems <1205-030009>
 ロシア空軍が1月23日、寿命を迎える S-300PS (SA-10b) の後継として、2020年までに Vityaz 中距離 SAM 30個システムと Pantsir-S 短距離 SAM 100個システムを装備すると発表した。
 西側でかつて MRADS と呼んでいた Vityaz は、S-400 Triunf も使用している射程40km 9M96E 弾と、射程5km9M100 を装備し、9M96E だけでは10発、9M100 だけでは28発 を搭載できる。
 韓国の K-MSAM は Vityaz を元にしている。
2010.07 Jane's Missiles & Rockets Almaz-Antey releases brief details of new SAMs <1010-070008>
 Almaz-Antey社が、現在開発中の二種類の SAM について若干の情報を開示した。 またこの二種類と S-400、S-500 のほかに、 第五のシステムの存在も示唆した。
Vityaz
 Vityaz韓国向けに開発した KM-SAM を発展させたもので2007年に開発が開始さ れた。 来年には試作品が完成し、同年内に発射試験が開始される。 小型、安価であるが S-300PS (SA-10b) 並の性能を持つ。 ロシア軍が 装備している S-300PS は耐用期限を迎えようとしているが、後継の S-300PMU2 (SA-10d) は輸出用で、ロシア軍は装備していない。
Morfey
 ICBM や SAM のサイトを護るポイントディフェンス用至近距離 SAM で、精密誘導兵器や CM に対処する。
2010.02 Jane's Missiles & Rockets Russian Air Force wants a second S-400 production line <1003-020006a>
 ロシア空軍のトップが、2010年末までに S-400 5個大隊を整備する目標を達成するためには、 もう1箇所の生産設備が必要であると述べた。 ロシアは現在2個大隊を配備していて、もう1個大隊の装備が生産中である。
 Almaz-Antey社は過去16年間 S-300 シリーズ SAM をロシアから受注しておらず、新型の S-300PM (SA-20) の調達も提案している。 更に100個システ ム以上ある S-300 シリーズは1970年代~1980年代に生産されたもので、2015年には耐用命数がきれることから、S-300PS (SA-10) を Vityaz システムに換装することを提案している。
<1003-020006b>
 Vityaz MRADS の構想は1998年に初めて明らかにされ、2008年に Almaz-Antey社が開発に入った Buk-M1 (SA-11) や Buk-M2 (SA-17) に代わる垂直発射式 SAM で、S-400 用の 9M62 弾や、R-77 (AA-12) AAM を SAM にした R-77-3PK を発射する。
 発射機には移動型発射機 (TEL) と移動型レーダ/発射機 (TELAR: 右図) があり、4発パックを TEL は3個、 TELAR は7個搭載する。 TELAR のレーダは方位を機械式、高低を電子式に走査する X-band レーダで、同時に50目標の 追随と8目標との交戦ができる。
2009.07 Jane's Missiles & Rockets South Korea medium-range SAM successfully completes trial <0908-070019>
 韓国が5月上旬に KMSAM の試験に成功した。 KMSAM については殆ど知られていないが、Almaz-Antei社の MRADS を元にしているようである。
 MRADS(右図)は発射機に10個のキャニスタを搭載するが、キャニスタには中距離 SAM であれば1発、 短距離 SAM であれば短いキャニスタに4発を装填する。
 これとは別に米政府は議会に対し、韓国に SM-2 Block ⅢA 46発ⅢB 35発、ⅢB テレメ弾3発、キャニスタ84基を $170Mで売却すると通知した。
2007.06 Jane's Missiles & Rockets Russia releases more details of Fakel 9M96 <0713-060014>
 ロシアの Fakel社が S-400 Triumf 用に開発した 9M96E 及び長射程型の 9M96E2 は、終末段階でガスダイナミック制御を使用し直撃を狙っているため、 大型弾頭が不要である。
 9M96E/E2 は Almaz-Antey 社が提案している MRADS に採用されているほか、 S-300 (SA/10) でも使用できる。 更に小型艦船を含む艦載の検討は1990年代初期から行われている。
2003.06.25 Jane's Defence Weekly Murders undermine Russian merger deal  ロシアの2大 SAMメーカである AlMaz社と Antey社が中核となり、国営企業約40社が合併してできた PVO 共同企業体は、6月6日にトップの2人が相次いで暗殺されたことにより、今後が危ぶまれる。
 特にロシアが第5世代 SAM として位置付けているシステムの開発は中断されることも考えられる。
2003.05.21 Jane's Defence Wekkly Russia air-defence group dogged by old rivalries
= ロシア SAM メーカ Almaz社と Antei社が合併した PVO社のその後 =
 合併は Antei社を核として行われたため、ごたごたが続いた。 Almaz Antei 両社の確執は S-300 シリーズに始まるが、一時 PVO社が Almaz社の S-300P (SA-10) の後継である S-400 (SA-20) 計画 を中止し、Antei社の S-300V (SA-12) の発展型である S-300VM 計画を推進すると発表したが、 後に撤回された。
 現在では初代社長 Svirin を更迭して正常化の方向にあり、PVO社は S-400 と、それを基礎 とした装輪自走式 SAM の開発に全力をあげるとしている。
 更に Russian Centre for the Analysis of Strategies and Technologies が、受注の少ない S-300V を中止し、Tor システムに集中すべきとの勧告を行っている。
2002.10.02 Jane's Defence Weekly Almaz-Antey developing new SAM systems  Almaz-Antey社は、少なくとも2種類の新型 SAM を開発している。
 Vityaz は Buk 9K37 (SA-11) の後継として開発されている SAM で、9M96 ファミリ弾と、それより 短射程の 9M100 弾を使用する。 しかしながら、この開発が実際に行われているのか否かは明らかでない
 この他に同社は、最大射程400kmの Almaz S-400 Triumph (SA-20) と、最大射程250kmの Antey-2500 の後継となる"第5世代" SAM の開発を進めている。 この新型 SAM は S-400 及び Antey-2500 よりも射程が長い SAM の様である。
2002.03 Jane's Missiles & Rockets Almaz offers new SAM system  1998年に CG 画像が公表されたロシア Almaz社の MRADS (Middle Range Air Defense System) は、設計が見直された上で模型が公表された。
 MRADS の発射機は4軸10t車搭載で、射程50kmの中距離弾10発の他に、中距離弾1発に代えて4発の 近距離弾を装填できる。
 同じ4軸10t車に搭載される FCS は TELAR (Transporter-Elector-Launcher and Radar) と呼ばれ、1面回転 型レーダの他に4発入り近距離弾パックを7パック搭載する。
 更に TELAR は ASM 等に対する自衛システム 'Active Protection Complex' を装備する。 このシステムは チャフ、エアロゾル、ジャマーからなるシステムと見られ、固定型がシェルタ屋上に4基、指向可動式が4角に1 基ずつ付けられている。
 中距離弾は多分 S-400 で使用する 9M96E と見られ、近距離弾は AA-12 の様な AAM の地上発射型と 見られる。
1998.10.21 Jane's Defence Weekly Russia develops MEADS looklike  Almazが開発中のTrieumfについて。
・射程 : 1~50キロ
・射高 : 10~25キロ