2014年の注目される軍事技術に関する報道

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要             旨
2014.12.17 Jane's Defence Weekly USN's prototype laser is operational in the Gulf <1502-121701>
 米海軍が初のレーザ兵器
LaWS をペルシャ湾に配備した前方洋上基地 (AFSB) の暫定艦 Ponce に装備した。 11月に行われた LaWS の実照射映像では ScanEagle UAV を 2秒以内で撃墜したほか、高速艇から発射される RPG を撃墜する手順も紹介した。
 AN/SEQ-3 LaWS は2014年8月に半永久装備として Poce に搭載され、艦載レーダや CIWS から目標を移管されて戦闘を行う。
2014.12.10 ONR HP Historic leap: Navy shipboard laser operates in Persian Gulf <1501-121004>
 米海軍研究本部 (
ONR) が10日、レーザ兵器 LaWS が初めてペルシャ湾に配備されたと発 表した。
 9~11月に実施された Ponce に搭載した LaWS の実用試験では、突進してくる小型高速艇標的や、Scan Eagle UAV の撃破に成功してい る。
LaWS の Ponce での試験映像
2014.12.01 Aviation Week &ST Electric startup <1502-120103>
 NASA が電動モータ駆動のプロペラを18基配置した翼の、車載した地上試験を行っている。 翼端長は 31ftで70mph (61kt) で飛行する。
【関連記事:1410-082504 (AW&ST 2014.08.25)】
2014.11.26 Jane's Defence Weekly Laser weapon breals cover on board USS Ponce <1412-112604>
 米海軍が、洋上基地艦 Ponce ペルシャ湾に派遣しているに装備したレーザ兵器 LaWS の鮮明な画像を初めて公開した。
 LaWS は、民生用の5.4kWソリッドステートレーザ (
SSL) を6本束ねて30kWを実現した装置で、2009年から2012年ま で Arleigh Burke級 Flight Ⅲ 駆逐艦に搭載して試験を行ってきた。
2014.11.09 DARPA HP Wanted: ideas for transforming planes into “Aircraft Carriers in the Sky” <14121-110901>
 米
DARPA が、高価な大型有人航空機や搭乗員が損害を受けるリスクを低減するため、C-130 などの大型機から ISR やその他の用途の小型 UAV を複数発進させ、回収する技術を検討していて、11月7日に RfI を発簡した。
 RfI では4年以内の飛行試験を求めている。
2014.10.20 Aviation Week & ST Norwegian Night Nano <1412-102004>
 Prox Dynamics社が、夜間使用可能PD-100 Black Hornet Nano-UAV を発表した。 夜間型 PD-100 は 18gで、IR カメラ可視光 TV を搭載し、1哩の範囲でディジタルデータリンクにより 高画質映像を伝送する。
 同社は既に3,000機以上の PD-100を納入しており、英陸軍が2013年以来アフガンで使用している。
 システムは UAV 2機と制御装置を搬送ケースに収納して、重量は1.3kgである。
2014.10.14 Defense News Sikorsky, Boeing expect to fly JMR demonstrator in '17 <1411-101405>
 Boeing社と Sikorsky社が14日に米陸軍協会 (
AUSA) の年度総会で、SB-1 Defiant が計画どおりFY17 に初飛行すると述べた。 Defiant は Apache や Black Hawk の後継となる JMR 用に開発している同軸反転ロータ 方式のヘリで、8月に Bell社の V-280 Valor と共に JMR で機種選定されている。
 Defiant は4名の乗員のほか、12名の完全装備兵を搭載できる。
2014.10.13 Defense News Bell unveils new 'Valor' tiltrotor <1411-101302>
 米陸軍協会 (
AUSA) の年度総会で Bell社が13日、2,000~4,000機の需要が見込まれる次世代中型 ヘリ JMR/FVL に提案している V-280 Valor チルトロータ機の実大模型を展示した。
 Vator は巡航速度280kt、戦闘行動半径500~800nmと、いずれも現有機の二倍で、4名の乗員の ほか14名の兵員を搭載できる。 V-22 Osprey と異なりロータ/プロペラだけがチルトしエンジンは固定であるため、構造 が簡単でコストも抑えられるという。
2014.10 International Defence Review DARPA seeks armoured vehicle technologies <1411-100001>
 米
DARPA が、車両重量を増加させないで装甲防御力を高める車両 GXV-T の開発を2年かけて行う計画で、9月5日 を提案期限に設定した。
【関連記事:1410-090509 (DARPA HP 2014.09.05)】
 GXV-T は、車両重量とサイズを50%、搭乗員数を50%削減し、速度を100%地形走破能力を95%向上 させることを目標にしている。
2014.09.16 Defense News USAF Lab chief expects to test EW missile in 2016 <1410-091605>
 米空軍研究所 (
AFRL) 所長が16日に空軍協会コンファレンスで、複数目標に対し複数回照射 できる HPM 兵器となる CHAMP について、AGM-86 ALCM に搭載した試験を2016年までに実施する計画であることを明らかにした。
 また JASSM-ER 搭載も2020年代中頃に実現するほか、F-35 や UAV 搭載も2010年代末に行われるとした。
2014.08.18 DARPA HP New Ground X-Vehicle Technology (GXV-T) program aAims to break the "more armor" paradigm for protection <1409-081810>
 従来、装甲戦闘車両の防護性は装甲の強度に依存してきたが、装甲への依存は脅威の増大から最早限界 に来ている。
 このため米
DARPA が進めている GXV-T 計画では、非発見性を高めるなどにより 装甲を軽量化することを目指している。 このため計画では、
  ・寸法重量の半減
  ・搭乗員の半減
  ・速度の倍増
  ・地形走破能力を95%に抑制
などを図る。
 DARPA は2015年4月に発注し、24ヶ月で試作する計画である。
2014.07.24 DARPA HP Beyond GPS: 5 next-generation technologies for Positioning, Navigation & Timing (PNT) <1408-072408>
 GPS は軍民にわたって
PNT に不可欠となっているが、地下や水中では使用できない制限や、 敵が妨害を行えるという弱点を有している。 この対策として米 DARPA は以下の技術について研究を進めている。
ANS (Adaptable Navigation Systems)
Micro-PNT (Microtechnology for Positioning, Navigation, and Timing)
QuASAR (Quantum-Assisted Sensing and Readout)
PULSE (Program in Ultrafast Laser Science and Engineering)
STOIC (Spatial, Temporal and Orientation Information in Contested Environments)
2014.07.10 DARPA HP EXACTO demonstrates first-ever guided .50-caliber bullets <1408-071006>
 米
DARPA が、誘導 .50弾 EXACTO の初めての実射誘導飛行試験に成功した。 EXACTO 弾は射手の照準線からずれた方向にある標的に命中した。
誘導発射試験の映像
【関連記事:1205-030029 (IDR 2012.03)】
2014.05.26 Aviation Week & ST Material gains <1407-052602>
 今日アクティブレーダで広く使われている GaAs より高効率で、高出力低雑音が期待されている GaN 素子の軍用利用 は、Saab社がライバル社に先んじて、艦載レーダや JAS 39E Gripen 搭載の レーダや電子戦装置で実現している。 更に ErieEye
AEW&C 機の改良型でも採用される。
 現在試験が行われている S-band 多用途レーダである Giraffe 4A も GaN を採用しており、2016年にも納入される。 Giraffe 4A はアンテナ サイズが2m×2mで素子数2,000個であるが、Giraffe 8A は4,000個の素子を使っている。 また現在の Giraffe AMB より小型で機動性の高い X-band ATBM レーダ Giraffe 1X も2017年には納入される。
2014.04.06 Record 空飛ぶ船、中国で実用化―中国紙 <1405-040605>
 中国で初めて実用化された地面効果翼機 (
WIG) 『翔州-1』が洋上試験を完了し、3日に中国船級社の 検査証書を取得した。
 WIG は空飛ぶ船とも呼ばれ、航空機の速度と船舶の経済性を兼ね備えており、地面効果を利用して海面すれすれの高速飛行が可能である。 翔州-1は全長は12.7m、全幅 11m、全高3.9m、最大離陸重量2.5tで、最高速度210km/h、巡航速度140~160km/h、定員7名の性能を持つ。
 同機は水面において地面効果区で飛行するが、30~50mまで上昇可能である。 耐波高は0.5mで、航続距離は 400kmに達する。
【中国の WIG 関連記事:0422-111009 (JDW 2004.11.10)】
2014.04 International Defence Review UK systemising application of electric armour <1405-040001>
 英国防科学技術研究所 (
Dstl) が電気装甲の開発を進めている。 電気装甲は1970年代にロシアで研究され、その後20 年間にわたり英米で研究が続けられ、2002年には英国で実証試験が行われている。
 初期の電気装甲は車外に電源を持ち、車内スペースの1/3を蓄電池が占めていたが、英国は比較的省電力でシステムを実現した。 Dstl は搭載車両の車両電 源で実現できるシステムを目指している。
【註】
 電気装甲は絶縁体を挟んだ2枚の電極板からなり、それぞれが大容量の蓄電池に接続されている。 着弾した対戦車弾が溶融銅のジェットを噴射し、外側の電極を貫通した ジェット噴流が内側の電極に接すると大電流が流れ、溶融銅は瞬時に気化すると共に、吹き飛ばされる。
 このシステムの利点は装甲厚を極端に薄くできることにある。
'Electric armour' vaporises anti-tank grenades and shells
2014.03.04 DARPA HP Compact, high-power and efficient ultraviolet laser for bio/chem detection <1404-030409>
 散布された生物化学兵器を、分子の固有振動をレーザを用いて測定するラーマン分光法 (Raman Spectroscopy) で、 離れた位置から探知しようとする
LUSTER 計画が米 DARPA で勧められている。
 LUSTER が使用する UV レーザは現段階では車両でなければ運搬できない大きさであるが、計画は人力運搬可能な UV レーザ 装置を目指しており、LED 技術が採用されることになる。 LUSTER が目指す UV レーザは波長が220~250nano meter、帯域幅が0.01nano meter以下で、出力1W以上、発振効率 10%以上を目指している。
2014.03 International Defence Review Saab unveils Sea Giraffe <1404-030003>
 Saab社が GaN 素子を使用した
AESA 方式の艦載用 E/F-band MFR である Sea Giraffe 4A を公表した。
 このクラスの MFR にはAirbus Defence社の TRS-4D、Thale Nederland社の NS-1000、Selex ES社の Kronos、Elta社の EL/M-2258 Alpha などと競争相手が多いが、Saab社は ERIEYE AEW の技術と、従来型の Sea Giraffe AMS G-band MFR の実績で勝負する。 Sea Giraffe AMS は、AN/SPS-77 として米海軍の LCS が装備している。