気球搭載レーダに関する報道

年 月 日
出   典
標     題
要         旨
2005.07.06 Jane's Defence Weekly Raytheon applying Sentonel radar to airbone role <0514-070611>
 Raytheon社が係留気球搭載用に AN/MPQ-64 Sentinel を軽量化した AeroSentinel を開発している。 牽引式でトレーラに搭載された Sentinel が2,100-lbあるのに対して AeroSentinel は 1,000-lb以下となる。
 Sentinel は本来75kmの最大探知距離であるが、地上型ではアースカバチャーの影響で32kmしか探知できない。
 Raytheon社はこの他に Humvee 搭載型で11mのマスト上にアンテナを上げる Sentinel を開発しており、11月 には組立を終え2006年末までに試験を終える。 一方で Sentinel の P3I 計画も進行しており、この改善で 捕捉距離は約倍になる。
2005.04 International Defense Review Radar aerostats provide cost-effective platform for enhanced observation <0508-040009>
= 気球搭載用各種レーダに関する記事 =
 気球/飛行船にレーダを搭載すると、地上設置に比べ大開口アンテナを実現できる。 また、気球/飛行船 搭載レーダによる対空監視は、AEW&C 機に依るのに比べ遙かに低コストである。
 JLENS のプロトタイプには TCOM社製 71M 係留気球が使用され、高度 15,000ftで720時間滞空する。
APG-66SR
 F-16 搭載 APG-66 の派生型で、 LPRF(4種類)、非コヒーレント、周波数アジャイル、MTI、GMTI など7種の動作モードを持つ。  TCOM社製 SASS (Small Aerostat Surveillance System) やイタリアの SAACS (South Adriatic Aerostat Coastal Surveillance) に 搭載されている。
AN/TPS-63
 中距離対空レーダ AN/TPS-63 を係留気球搭載用にしたもので、RCS=5㎡、高度500ftの目標を90%の確率で260kmで捕捉する。
E-LASS (Enhanced Low Altitude Surveillance System)
 AN/TPS-63 の改良型で、データは係留索と一体化された光ファイバで送られる。
ATLASS (Advanced Technology Low Altitude Surveillance System)
 E-LASS の改良型で、送信出力が増大。
L-88
 Lockheed Martin社の気球搭載レーダで、L-88(V)3 と高出力型の L-88A がある。
APR (Aerostat Programmable Radar)
 Elta社製 Green Pine レーダの気球搭載型で、捕捉距離500km。 Az, El 共に電子走査式で3,000m/sの目標 まで捕捉する。 Arrow ミサイルを目標の4m以内までに誘導できる。
Sea Dragon
 ロシアの気球用レーダで Au-21 Puma に搭載する。 捕捉距離200km。
( Au-21 Puma 関連記事 IDR 2003.11)
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┃    ┃ APG-66SR ┃ AN/TPS-63 ┃  E-LASS  ┃  L-88A  ┃
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┃周 波 数┃ 9.7~9.9GHz┃  1~2GHz ┃1,215~1,350┃1,215~1,400┃
┃平均出力┃  200W  ┃      ┃  1.1kW  ┃1,478~1,614┃
┃尖頭出力┃  17.5kW ┃      ┃  30kW  ┃  16.6kW ┃
┃PRF ┃ 500~15kHz┃      ┃  375Hz  ┃ 369、304Hz ┃
┃ビーム幅┃  Az: 0.75゚┃      ┃  Az: 2.2゚ ┃  Az: 1.9゚ ┃
┃    ┃  El: 2.25゚┃      ┃      ┃  El: 3.5゚ ┃
┃捕捉距離┃59km(地10㎡)┃148、222、 ┃  278km  ┃19.5~278km ┃
┃    ┃83km(空 2㎡)┃  296km選択┃ (空中 2㎡)┃or 19~370km┃
┃方位覆域┃  全方位 ┃  40゚以内 ┃      ┃  全方位 ┃
┃重  量┃      ┃  3,400kg ┃      ┃  1,315kg ┃
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2004.04 International Defense Review Aerostat-based phased-array radar bolsters early capability <0408-040003>
 イスラエルは北部国境の監視用に使用している TCOM係留気球に搭載している Northrop Grumman社製の AN/TPS-63(右図上)レーダを換装する。
 新しいレーダは Arrow ABM システムに使用されている Elta社製の EL/M-2080 Green Pine レーダを改造した APR (Aerostat Programmable Radar) で、この新型レーダ搭載 TCOM係留気球は2004年後半に2基、来年以降更に2基が インド空軍に引き渡されることになっている。
 APR は低空捕捉能力を持つ 3Dレーダで、CM、UAV、ヘリ、超軽量航空機など、テロリストや特殊部隊が使用す る武器の捕捉能力を持つ。
 (註: TCOM 係留気球は、米国 TCOM 社の製品。 同社は71m級のほか32m級、15m級 の係留気球及び飛行船を製造している。)
2004.02 International Defense Review Aerostat for Kuwait <0404-020001>
 クウェートが米海兵隊から、TCOM社製の全長71mの係留気球を$4.8Mの FMS で購入する。
 この気球には低空監視用の AN/TPS-63 レーダと、AR-900 ELINT システムが搭載される。

 (註:TPS-63 は米海兵隊が装備する MRRS (Muli-Role Radar System) と呼ばれる L-band レーダで、気球搭載用として使われてい る。)

2003.12 International Defense Review DARPA eyes lightweight antenna for high-altitude airships  DARPA が HAA に搭載するレーダ ISIS (Integrated System Is Structure) に ついて、1年間の概念設計を予算化することを計画している。
 ISIS は X-band、VHF の2周波レーダとなる模様で、円形 (circular) の ESA アンテナは機体構造とのコンフ ォーマル化が図られる。 アンテナ重量は他のエアボーンアンテナに比べて折り畳み展張機能や電波遮蔽機能が不要で、発射時の耐久性 も要求されないため、1/10程度に抑えられると見られている。 
2003.11 International Defense Review Moscow uses Augur airships for observation  ロシアの Augur社が3機の Au-17 Bars 係留気球(右図)と、2機の Au-12 飛行船をモスクワ市に納入した。  Au-17 Bars は UOMZ社製の GOES-520 EO ターレットを搭載している。
 Au-17 Bars は全長17.8m、胴径7.8m、容積440立米で、120kgのペイロードと、最大高度1,200mの性能を有し、3年前にロシア軍に AZ-55 及び USU-85R 係留気球の後継として UAN-400 という制式名で採用されている。
 また Augur社は捜索距離100kmの対地レーダを搭載する容積470立米の Au-27 Rys を開発中である。
 更に同社は中国向けにロシア最大の係留気球 Au-21 Puma を開発し、中国は2003年8月に南東部の 福建省に配備している。
 Au-21 Puma は Sea Dragn レーダを搭載して陸上、海上の捜索を行う全長60.7m、胴径35.8m、容積11,809立米 の係留気球で、1,750kgを搭載して高度9,850ftに25日間滞空できる。
 (註:米国で開発中の JLENS は55,000立米、HAA は15,000,000立 米の容積を持つ)
2003.02.03 Inside the Army Army approves JLENS for acceration,concept development phase  米陸軍はこのほど、ミサイル防衛用気球システム JLENS の研究開発を促進するこ とを承認した。
 JLENS は今年中に主要調達計画に記載されることとなり、研究開発経費は約 $365M、スパイラル開発による初期能力発揮を FY-05 に、 最終生産決定を FY-09 に予定している。
 JLENS は汎用技術を用いた全長71mの気球で、高度14,000~15,000ftに滞空させ、搭 載する監視レーダーは500kmを、射撃統制レーダーは140~150kmを覆域とし、当初は陸 軍の SLAMRAAM との連接を計画している。
2002.11 Jane's Missiles & Rockets SLAMRAAM to have JLENS-mounted fire control  米陸軍が SLAMRAAM の FCS レーダに JLENS を採用したことが JLENS の予算膨張を招いている。
 FY-04~09 POM (Program Objective Memoranda) によると、JLENS 予算は$100M増加して$591Mになる。
 JLENS には監視レーダ用と FCS レーダ用の2種類が計画されているが、予算膨張対策としてまず FCS レーダ用を開発し、スパイラル 開発で監視レーダ用を後から開発することが考えられている。