中国第2砲兵の ECM 連隊が装備している YLC-20 パッシブレーダである。 YLC-20 はチェコ製 VERA-E パッシブレー
ダのコピーと見られ、DZ9001C ELINT 装置と、DWL002 パッシブ探知装置で構成される。
ロシアの TsNIRTI が、移動式のパッシブ追随レーダ MKRR-STs(右図上)を開発している。 恐らく
S-400 SAM と共に使用されるものと見られる。
ロシアは今まで、85V6-A Vega パッシブレーダを S-300 SAM と共に使用
してきた。 85V6-A は3基の 85V6 Orion DLA(Detection/Localisation Analysis: 右図下)と1基の指揮装置で構成され、
DLA は30kmまで離隔して展開できる。
・周波数域: 1~18GHz (option: 0.1~1GHz または18~40GHz)
2024.03.27
14:12Inside Defense
Army seeking vendors interested in building next-gen mobile passive air defense radar
<2404-032709>
陸軍は、FMTV車に搭載された陸軍の長距離持続監視システムの一種で、CM、航空機、小型UAVの探知に役立つ高さ60ftのセンサーを迅速に展開できる、次世代の移動式パッシブレーダーの要求を纏めている。
陸軍は3月26日、防空砲兵と野戦砲兵のセンサーとなる新しいレーダの競争に関心のある企業からの回答を求める通知を発表した。
2023.10.25
22:55Defense News
German air force tests Hensoldt passive radar system to boost defenses
<2311-102524>
ドイツ空軍が民間のTVやラジオの電波を送信源に利用したパッシブレーダの試験を行っている。 試験が行われてるのはHensoldt社製のTwinvisで、Defense Newsは2022年6月に報じていた。
【註】
記事ではこのレーダを送信波を出さないパッシブレーダとしているが、TVなど他が送信する電波の反射を利用していることから、バイスタティク又はマルチスタティックレーダと呼ぶべきと思われる。
2023.08.10
16:32Defense News
Hensoldt unveils a deployable package of its Twinvis passive radar
<2309-081008>
ドイツHensoldt社が8月4日に、ステルス航空機の探知に有効なTwinvisパッシブレーダを公表した。 Twinvis Shelteredシステムは既にNATO内外の4ヵ国から受注しており、目下数基を製造中という。
Twinvisは電波を発せず、ディジタルTV放送やFM放送の電波を反射した目標からの電波を受信して目標を捕捉する。
【註】
Twinvisは広義ではパッシブレーダと言えるが、一般にはバイスタティック・セミアクティブレーダに分類される。
目標の発する電波を受信するだけのパッシブレーダは目標までの距離が分からないが、FM放送局が発する電波を利用すればTwinvisに直接届く放送波と目標に反射して届く放送波の伝搬経路長の違いから、目標までの距離も測定できるはずである。
ステルス航空機に有効というのは、ステルス機は電波の反射を側方や後方に向けて前方への反射(バックスキャタ)を極力減らしているため、側方からは丸見えになることによる。
2023.08.08
Janes
Hensoldt launches new passive deployable radar
<2309-080817>
(註:ドイツ)Hensoldt社が8月4日、Twinvisパッシブレーダの野外展開型の新型を発表した。 既に数個システムがNATO内外の国から受注しているという。
長距離の広域監視をするTwinvis Military Shelteredと呼ばれる新型は軍用車で移動し、2名で展開できるという。
2023.06.22
17:29Inside Defense
NORAD eyes requirement for string of new passive sensors in the high North
<2307-062214>
米国防総省がNORADとNORTHCOMにパッシブレーダ網を構築しようとしてる模様である。
国防長官官房は2017年に、民間の既存技術によるTalon Archerの開発と配備を明らかにしていた。
2020.04
International Defence Review
Taking the initiative: Passive sensors to offeer covert detection advantage
<2005-040018>
2019.04.24
Jane's Defence Weekly
Pentagon confirms deployment of new passive sensor
<1906-042406>
米国防総省が、固定翼/回転翼機やUAV/CMを遠距離で捕捉するパッシブセンサの試作品を配備していることを認めた。
陸軍SMDC司令官のディッキンソン中将が4月3日に上院軍事委員会戦略軍小委員会で、陸軍がパッシブセンサALPSをアジア太平洋軍、在欧米軍、中央軍に既に配備していることを明らかにした。 ALPSはロシアがシリアで使用したCMを含む700種類の目標を判別できるという。
2019.04.12
Inside Defense
Army fielding new ALPS to detect cruise missiles, aircraft, UAS
<1905-041205>
米陸軍が在欧米軍、インド太平洋軍、中央軍がに配備する長距離連続監視パッシブセンサLRPS試作機の配備を開始した。
LRPSは敵の航空機、CM、UAVを捕捉する能力向上のため2年間かける計画で、在欧米軍の要求で陸軍SMDCが開発にあたっている。
2015.09.14
Aviation Week & ST
Networks? nyet
<1511-091403>
年内に配備が始まる地対空妨害機で、Krasukha-2 は AEW&C機妨害用
・Avtobaza-M パッシブレーダ(右図)
電波の到着時間差 (TDOA) で目標を標定。 200MHz~18GHzをカバーし、精度は捕捉距離の2%
・Kh-58UShKE-IIR ARM
Mach 4 の Kh-58 (AS-11) の折りたたみ翼型 Kh-58ShKE の IIR 誘導型
・Kh-59MK2 CM
重量1,700-lbで、射程160nm
2014.10.04
Defense News
China touts anti-stealth radar
<1411-100403>
北京の CETC社が5月に開かれた中国国際防衛電子展に出品した DWL002 パッシブレーダは YLC20 パッシブレーダの発展型
で、戦闘機であれば400km、E-3 や E-2 AWACS であれば600kmの捕捉距離を持つという。 400~600kmと言うと、台湾や尖閣
諸島が含まれる。
DWL002 はチェコの VERA-E や、ウクライナの Kolchuga などのパッシブレーダをヒントに開発された。 中国は VERA-E
は購入していないが、Kolchuga は導入している。
2014.06
Inrternational Defence Review
NATO selects Czech passive tracking system
<1408-060001>
NATO が DPET に、チェコ ERA社の VERA-NG を選定し、5月中旬に契約した。 2個システムが
2016年11月と2017年3月に納入される。
VERA-NG は VERA ファミリの発展型で、既にアジア、ヨーロッパ、アメリカで装備されている。
2014.05.21
Jane's Defence Weekly
The sound of silence
<1407-052114>
ERA社(チェコ):
1960年代からパッシブレーダを開発している同社の Silent Guard(右図)は、FM 放送波を利用し、捕捉能力は150km。
Airbus Defence and Space社:
旧 EADS社の同社は、FM 放送波に対しては200km、DAB/DVB-T波に対しては40kmの捕捉距離を持つレーダを公表。
Indra社(スペイン):APIS 計画を推進中
Selex社(イタリア):DAB/DVB-T 利用の AULOS パッシブレーダ
Thales社(フランス):DVB-T 利用パッシブレーダ
【註】
この記事では公共放送等の送信波が目標から反射してくるのを捕捉するシステムもパッシブレーダとしているが、目標が送信する電波を捕捉するのではないため、厳密
な意味でのパッシブレーダとは言えず、正しくはバイスタティク又はマルチスタティックレーダの一種と言うべきである。
2013.06
International Defence Review
ERA develops passive anti-stealth radar
<1307-060022>
VERA-NG などのパッシブレーダメーカであるチェコの ERA社が4月、4年間秘密裏に開発してき
た Silent Guard パッシブ(註:セミアクティブ)防空レーダを公表した。
システムは FM 放送に合わせて 87.5~108MHzで働き、帯域幅は75kHzで、8個素子からなるアンテナアレイで FM 放送波の反射を受信する。
【註】
この種レーダは、目標が放射する電磁波を受信するパッシブレーダと異なり、送信源をシステム内に持たないバイスタティックレーダであることから、本資料ではセミア
クティブレーダと位置づけ、別扱いをしている。 FM 送信局などの位置が特定できれば、パッシブレーダと異なり測距も可能である。
ステルス機はレーダ送信機の方向に反射する電波(バックスキャタ)を極力抑えて、レーダとは別方向への反射(フロントスキャタ)に変える機体形状をしているため、
送受信機を別々の位置に置くバイスタティックレーダは、原理的にステルス機を探知しやすい。
2013.03
International Defence Review
EDA hits passive radar milestone
<1304-030024>
Indra社が欧州防衛庁 (EDA) の発注で開発していたパッシブアレイ ISAR
(APIS) の開発を完了した。 ISAR 技術を利用した初のパッシブレーダであるという。
APIS は複数の受信機を配列したパッシブレーダで、TV 放送電波など各種電波の反射を受信し、
MUSIC 信号処理技法により目標を捕捉する。
2013.02.20
Jane's Defence Weekly
Indra develops first ISAR passive radar
<1303-022005>
スペインの Indra社が、逆合成開口面レーダ (ISAR) 技術を利用したパッシブレーダ
APIS レーダを開発した。
APIS レーダは多チャンネル、マルチスタティック、単一受信機で、MUSIC アルゴリズムを用いたディジタルビーム
形成が行われている。
2012.12
Jane's Missiles & Rockets
Club-K gets passive target-finding capability
<1301-120030>
ロシアの AGAT社が Club-K コンテナ発射 ASCM の開発を続けていて、最近では ChVA-001-04RP
パッシブセンサとの連接が行われている。
ChVA-001-04RP は車両2両からなるシステムで、0.3~18GHzをカバーするが40GHzまでの拡張も可能である。 MDS
は-105dBW~-122dBWで、0.3~0.5GHzで10゚、0.5~18GHzで4゚の方探精度を持つ。
2012.02
Jane's Missiles & Rockets
Orion ESM system offered for air-defence role
<1203-020024>
ロシアの Spec-Radio社が、85V6-E Orion ESM を改良した防空用の ESM 装置 Orion-M を開発した。 Orion-M の取り扱う周波数帯域は
1.0~18GHzであるが、オプショ
ンで40GHzまで拡張が可能である。 常時500MHzの幅で到来 RF 波を監視し、2秒以内に信号諸元を測定できる。
捜索範囲は Az 360゚、El 0゚~20゚で、標定精度は Az 0.2゚、El 1゚である。
2010.01
International Defence Review
Poland receives land-based EW system
<1002-010003>
ポーランド空軍が12月に、PRP-25 Gunica 移動型パッシブレーダ/ELINT 装置を受領した。 Gunica は PRP-25M 主装置と、2又
は3基の PRP-25S 補助装置からなり、PRP-25S は PRP-35M から通常20~50km、最大50~60km離隔して設置
される。
システムは0.5~18GHzを、500mHz又は40MHzの幅で捜索し、方探精度は0.5~3GHzで2゚、3~18GHzで1゚
である。 重量は PRP-25M が12t、PRP-25S が9tである。
2009.05.06
Jane's Defence Weekly
Era develops successor to VERA-E system
<0906-050607>
Era Systems社が5月5日にチェコで開かれた IDET 展に、VERA-E の後継となる VERA-NG
を展示した。 VERA-NG は VERA-E と同様に TDOA 技術を用いているがネットワーク対応型になっており、
重量が76kgと軽量化され2名で設営できるようになった。
VERA-NG の捕捉距離は450kmで、250目標の追随が可能で、オプションで電波特性記録装置を取り付けることもできる。
【註】
VERA-E はパッシブレーダで、2004年に中国へ輸出しようとして米国に阻止され、代償として米国が1基購入した経緯がある。 VERA-E は120kgであった。
2008.10.05
China Defense
Some good stuff on display from Oct 4th 2008's CCTV report on 2nd Artillery’s ECM Regiment
<0811-100501>
チェコはかつて中国に6基の VERA-E を輸出しようとしたが、米国の反対で2004年1月にこれを中止したことがある。
2006.12
International Defence Review
Poland opens a roving eye with PRP-25
<0624-120006>
ポーランドの PIT社が、車載パッシブレーダである PRP-25 Gunica を開発した。
実働システムの運用開始は2008年になると見られる。
ポーランドは2005年に4基の PRP-25 Gunica を調達する計画をたてたが、これほど早く開発できたのは同社が MUR-20 Bren-2 や
、MSR-W などの移動型 SIGINT/EW システム生産の実績があったからである。
PRP-25 は0.5GHz~18GHzの監視を行い、監視チャネルにはチェコの Tamara (Vega) パッシブレーダと同じよ
うに、TDOA (Time Difference Arrival) サブチャネルが採用されている。
2006.10.11
Jane's Defence Weekly
Kolchuga to China not Iran, Ukrainian officials say
<0621-101104>
ウクライナが Kolchuga-M パッシブレーダをイランに輸出したとの本誌の記事に対しウクライナ国営輸出会社
Ukrspertsexport社は、中国には輸出したがイランには輸出していないと断言した。
中国に輸出した分についても、複製されたこともないし転売されてもいないと主張している。
Kolchuga の原型は1980年代後半にロシアで開発された捕捉距離400kmのシステムで、1992~1996年にウクライナの Donetsk's SKB
RTU社がディジタル方式で捕捉距離600kmの Kolchuga-M に改良した。
2006.09.27
Jane's Defence Weekly
Ukraina sells Kolchuga to Iran
<0621-092702>
ウクライナがイランに Kilchuga パッシブレーダを輸出したことで米国が激怒している。 売却数は明らかに
なっていない。
Kilchuga は6輪車に搭載されたシステムで、VHF、UHF、SHF の四面のアンテナで構成されている。 それぞれ
は長距離を狭ビーム、近距離を広ビームで捕捉し、パラレルの受信機で分析、識別を行う。
捕捉距離は狭ビームで600km、広ビームで200kmとなっている。
2006.01.09
Aviation Week & ST
Quiet progress
<0602-010902>
イタリアは秘密裡にパッシブレーダの研究を進めており、最近行った試作レーダの試験では航空機からミサイ
ルまでその捕捉性能を確認した。 探知距離は戦闘機クラスで150kmとされる。
研究は国防省調達局の支援を受け、各種ステルス機の探知を目標に、Finmeccanica、Elettronica社を中心に数年前から行われており、
これまで数百万ユーロを投じている。
パッシブレーダ技術は各国とも研究を進めており、主要な計画としては Lockheed Martin社の Silent Sentry
system、DARPA の Dynetics and Avtec Systems 、フランスの Onera、英国の
Passive Coherent Radar 及び Celldar がある。 ロシアとチェコでも同様の研究を
行っている。
2005.10
Jane's Missiles & Rockets
Osa-AKM offers stealth and night capability
<0521-100020>
モスクワ近郊の Zhukovsky で開かれた MARKS 2005 展で、Almaz-Antey社と Kupol社が、Osa-AKM (SA-8B) の
改良型を公表した。 このシステムは KsKBA社製のパッシブ RF 警告追随装置 POR を搭載している。 POR は
航空機搭載の L-150 RWR を地上用に改良したものである。
POR は探知用4個、追随標定用2個、計6個のアンテナを持つ。 追随標定用アンテナ
は1.2~18GHz、又は8~18GHzをカバーし、追随射撃用アンテナの左右に1基ずつ搭載(右図)されている。 探知用アンテナはその上部に
取り付けられた半球状のレドーム内に入れられており、1.2~20GHzの広帯域スパイラルアンテナになっている。
2005.07.06
Jane's Defence Weekly
Estonia buys VERA-E system
<0514-070607>
チェコの ERA Pardubice社が VERA-E PASS (Passive Surveillance System) をエストニアに$4Mで輸出する契
約を行った。 この契約は2004年の米国に次ぐ二番目の輸出となる。 米国は中国へ輸出する契約を破棄する見
返りに、比較試験用として輸入した。
ERA社は1996年に固定型、次いで2002年に移動型の VERA-E を開発している。
2005.03
Jane's Missiles & Rockets
Passive radar could be integrated into S-400
<0507-030010>
MKRR-STs は、アンテナ部と装置部がそれぞれ次世代4軸装輪車に搭載されているが、S-400 もこの車両に搭載される。
2004.10.20
Jane's Defence Weekly
Czech government clears sale of VERA-E to US
<0420-102007>
チェコ政府が、VERA-E PSS (Passive Surveillance System) 1基の米国 DoD への輸出を承認した。 これは
中国へ6基の VERA-E PSS を輸出するのを米国が止めたことへの代償で、試験結果が良ければ追加発注も考えられる。
米国は VERA-E PSS が中国を経由してイランやパキスタンへ渡ることと、台湾海峡における米軍の動きを監視
されることを危惧していた。
チェコではパキスタンとベトナムに対する同様の輸出も差し止められ、現在 VERA-E PSS を装備しているのは1999年から装備するチェ
コ陸軍だけとなっている。
2004.04.28
Jane's Defence Weekly
Prague divided over radar export to China
<0409-042811>
チェコが EC に加入したことなどから、同国の ERA社が通商産業省から承認を得ていた中国への VERA-E PSS
(Passive Surveillance System) の輸出を、外務省が承認しなかった。
VERA-E PSS は航空機等の発する各種電波の到達時間差で目標の捕捉、識別、追随を行う 3D パッシブレーダ
で、3ヶ所の受信局で 2D、4ヶ所で 3D の情報を得ることができる。
VERA-E は1996年から生産されており、ERA社がかつて製造し旧共産圏諸国で広く使われていた Ramona PSS
及び Tamara PSS の後継である。 1999年のコソボ紛争で米空軍の F-117 が撃墜され
たのは、この Tamara PSS により発見されたことによると見られている。
【註:】
・受信範囲: 120°(option: 360゚)
・捕捉距離: 450km以内
・形状寸法: 1.3m×0.9m(右図)
・重 量: 120kg
・電源容量: 250w / 24V DC
2001.06.20
Jane's Defence Weekly
Counter-stealth: the unconventional approach
LO (Low Observable) 技術に多大の経費が投ぜられているなか、世界各国で安価な対ステルス技
術計画が進められている。
・Tamara システム: HTT-Telsa 社(チェコ)
LO 機が出すレーダー、無線、レンジファインダー、IFF 等の電気的信号から目標を探知、追随する
・Silent Sentry passive detection システム: Lockheed Martin 社
民間の FM 及び TV 放送局の電波が LO 機を照射した時に発生するドプラー信号を探知、追随する
・携帯電話地上局を利用する検知システム: Roke Manor 研究所 (英)
多数の民間移動電話端局を利用し、目標の位相変化から探知、追随する
・「Passive Coherent Location システム: 中国が運用
Silent Sentry と同様の原理と推定されている