2007年の ASAT に関する記事

年 月 日
出   典
標     題
要         旨
2007.07.16 Defense News US moves satellite to avoid debris from Chinese ASAT test <0717-071608>
 NASA は中国が1月に行った ASAT 実験で発生した40cm大の破片が、Terra 環境衛星に衝突 する可能性があるため、衛星の軌道を1.3km変更した。 破片が衝突する確率は7%であったが、軌道変更後の確率は0%となっ た。
 実験で発生した1cm~10cm大の破片は35,000個以上で、米宇宙監視ネットワークで確認、追随できるのは10cm 以上の破片に限定される。
2007.05 軍事研究 中国と米ソの衛星迎撃実験 <0708-050001>
= 中国の ASAT 実験及び米ソの ASAT に関する13頁にわたる記事 =
 ASAT の歴史では、米国は一貫して迎撃ミサイル方式であったのに対して、ソ連はキラー衛 星方式を追求してきた。 キラー衛星の技術は衛星のランデブー技術そのものである。 ソ連のキラー衛星は戦闘機衛星と呼ば れていた。
 米空軍の空中発射 ASAT は、1959年に B-47 から発射する WS-199 Bold Orion の開発を開始していたが中断 し、1977年に ASM-135 として復活した。 ASM-135 は F-15 から発射される二段推進 ミサイルで、1982年に空中発射試験が行われた。
 また米陸軍と空軍はそれぞれ、1963~1966年と1960年代後半~1970年代中頃に、陸上発射型核弾頭 ASAT ミサイル を実戦配備していた。
2007.04.30 Aviation Week & ST Reassessing space <0711-043005>
= 中国 ASAT 実験の米側対応に関する記事 =
 中国の試験成功から3ヶ月を経過し、米政府は急遽宇宙防衛に関する予算見直しを実施中であり、空軍は衛星 防護に関する検討を進めている。
 中国が旧式の気象衛星 Feng-Yun-1C を高度527哩で撃破したのは、車載型弾道ミサイル SC-19 であったが、 ASAT 用に改修していたか否かは現在調査中である。 飛散した Deblisによる影響はほとんどなかったが、米が懸念するのは 移動式のため発見が困難なこと及び第三国への拡散である。
 空軍は衛星破壊は宇宙戦争を誘起するとして、防護策及び ASAT ミサイルのブースト段階迎撃を焦点として いるが、今後発展すると予測される Micro-sat の発見識別は打ち上げ段階から困難とされ、イランが考えている宇宙での核爆発による EMP は情報収集及びネットワーク通信等に極めて重大な脅威とみている。
2007.04.30 Aviation Week & ST Serching for weakness <0711-043004>
 中国が最近実施した ASAT 実験は地上からの移動式発射機を用いており、 国外での発射や ASAT 兵器の拡散が懸念される。
 また、1990年代の湾岸戦争やコソボ紛争を戦訓とした統合作戦能力の強化と航空機搭載兵器の精密長射程化を推進 している。 右図は H-6 Badger 搭載の YJ/KD-63 巡航ミサイルであるが、現在さらに大型の対艦、対地侵徹 弾頭搭載型が開発中である。 更に米太平洋司令部の報告によると、中国陸軍は情報戦能力を強化しており、 常時 GIG の内容を探査している。
2007.04.09 Defense News China's ASAT galvanizes Indian efforts <0710-040902>
 中国の ASAT 実験を懸念するインドは、対抗して ASAT 兵器の開発を開始した。  開発は DRDO、ISRO (Indian Space Reserch Organization) 及び企業が合同で行っているが細部は不明である。
 インド国防省は空軍を Aerospace Force に改編して三軍統合の航空宇宙司令部を創設する計画で、統合参謀本部には既に宇宙部門が 設置されている。
 インドの軍事衛星には、技術試験衛星 (TESAT)、Cartsat-1 及び今年打ち上げ予定の Cartsat-2 があるが、イスラエルから Ofeq-5 を賃借する協議も進められている。
2007.04.02 Yahoo 読売新聞記事

「日・印衛星も破壊目標、米・・・」

<0708-040201>
 国防総省の中国問題顧問であるマイケルピルスバリー氏が、3月30日に開かれた米議会の諮問機関『米中経済安全保障見直し委員会』 への報告の中で、中国軍は2010~2020年をメドに中国上空の宇宙空間にある人工衛星を破壊 する能力の確立を目指しており、標的には米国の衛星だけでなく、日本とインドが含まれていると分析 している。
 衛星の破壊にはミサイルによる破壊に加え、電波妨害やレーザ照射による衛星の無力化、 地上局へのサイバー攻撃などが検討されているという。
2007.03.28 Jane's Defence Weekly Launching out <0709-032813>
= 宇宙戦に関する特集記事(その1)=
= ASAT の歴史と中国の ASAT に関する4頁にわたる特集記事 =
 1967年に署名された宇宙空間平和利用条約 (OST: Outer Space Treaty) は平和利用の定義が曖昧で、検証も困難であったため多くの 問題を抱えている。
 ロシアは1968年に SS-9 にレーダ誘導 KV を搭載した ASAT の開発を開始し、のちに SL-11 SLV に 光学シーカを付けた ASAT を1971年に装備化し、20基を配備した。 未確認情報に よるとロシアは R-33 (AA-9) AAM を改良した ASAT を MiG-31 改に搭載しているという。
 米国は F-15 から発射する ASM-135 ASAT の開発を1970年に開始し、 1984年に初発射試験、1985年9月に迎撃試験が行われた。
 今年1月に行われた中国の ASAT は IRBM を使用したのか KT-2 KT-2AKT-1SLV を使用したのか 明らかではないが、KT-1 は発射地点へ移動したのち12時間以内に発射する能力を持っている。
2007.03.14 Inside Missile Defense Shelton: Space warfare is certin; DoD must get ready <0708-031409>
 米 STRATCOM 司令官は2月、中国の ASAT 実験について、DoD の宇宙情報の収集と分析は不十分であると指摘し、更に将来宇宙戦争は 必ず起こるとして、戦略的、戦術的に所要の準備を早急に進める必要性を強調した。
 1月11日の中国が実験を行った1ヶ月前、米政府は国家宇宙政策を発表し、平和利用を基調とする米の態度を示していた。
2007.03.07 Jane's Defence Weekly Russia looks to bolster air defence <0708-030702>
 イワノフ国防相が2月27日に、ロシアは防空及び宇宙防衛用の新しいシステムを開発中であることを明らかに した。 このシステムは 9M82/9M83 を元にした S-500 か、 更に射程を延伸した S-1000 と見られる。 S-500 は財政上、技術上の問題から計画中止又は中断さ れたが、開発が再行された可能性がある。
 新しいシステム中国の ASAT にも対抗でき、米国が既に開発を開始したと言われる射程 1,127kmの SEAD ミサイルにも対抗できる。
2007.03.05 Aviation Week & ST Covert Chinese ASATs <0707-030503>
 米議会への最近の報告資料によると、中国は30項目以上の ASAT 構想を持っており、将来の宇宙紛争に即応 する戦略がみえる。
 報告では多くの中国軍公刊文書等の内容を分析しているが、記述の一部は以下のとおりである。
 ・非軍事衛星も ASAT 能力を持たせることが可能。
 ・地上設置型及び海上型 ASAT 及び宇宙秘匿 ASAT 衛星の存在。
 ・ASAT 指揮センタの設立。
 ・秘匿 ASAT、HEL による GPS 衛星の攻撃能力
 ・米宇宙センタ及び通信リンクの奇襲攻撃能力。
2007.02.14 Inside Missile Defense Kyl calls for hearing to examine China's Anti-Satellite development <0706-021416>
 米議会の Kyl 上院議員は、1月11日に行われた中国の ASAT 試験について、明らかに米国に対する警鐘であるとし、米国の技術の盗用 を含め、技術レベルを充分調査把握することと、将来の宇宙戦に向け KEーASAT 等の開発を促進す ることを求めた。
2007.02.14 Jane's Defence Weekly Taiwan halts funding for replacement satellite <0706-021411>
 2009年に寿命をむかえる台湾の偵察衛星 FORMOSAT-2(従来 ROCSAT-2 と呼ばれて いた)に代わる One-Eyed Dragon 計画は、議会で否決された。 1月中旬に行われた 中国による ASAT 実験によるところが大きい。
2007.02.12 Aviation Week & ST Worst ever <0705-021202>
 中国が1月11日に行った ASAT 実験で発生した Debris の数は900個以上と見積もられ、高度200km~2,000km の宇宙空間を周回する衛星と宇宙船に衝突する危険性が増大しているため、高度220哩を周回中の米露による国際宇宙ステーションは 危険を避けるため、2月7日に予定した宇宙遊泳を安全性が確認されるまで延期した。
2007.02.05 Defense News Israel wary of China ASAT test <0706-020502>
 イスラエル国防相と空軍司令官が、1月11日に試験が行われた中国の ASAT 技術がイランへの流出する のを懸念し、自国衛星の防護策を早急に確立する意向を示した。
 国防相は、中国が直接脅威となることはなく、ASAT 技術を輸出することは当分の間ないとするものの、イランへの技術援助は充分 あり得ると警戒感を持っている。
2007.02.05 Defense News China's mystery satellites <0706-020501>
 DoD は、中国が1月11日に行った ASAT 試験を分析した50ページの報告書を米議会に提出した。 細部は明らかにされていないが、中 国は2006年の地上からのレーザ照射を含め、数回の試験を行っており、今回の試験直前に一ないし二回の試験に失敗 している模様である。
 中国は少なくとも12件以上の研究を行っているとみられ、攻撃衛星や妨害衛星の開発、艦船または潜水艦か らの ASAT 弾の発射、地上からのレーザ攻撃及び衛星による地上基地の物理的又は電子攻撃等が検討されている。
 DoD は、米国の各種衛星の近傍を多くの中国衛星が周回することに疑問を持っており、単なる通信衛星な のか、有事に攻撃衛星になるのか現在のところ判別不明だとしている。
2007.01.31 Jane's Defence Weekly More details emerge of Chinese ASAT tecnology <0704-013104>
 1月11日に迎撃試験が行われた中国の ASAT は当初 IRBM で打ち上げられたと見られていたが、KT-1 SLV に よることが判明した。 KT-1 (Kaituozhe-1) は100kgの衛星を低軌道に打ち上げる固体燃料の SLV で、全長 16.1m、第一段の胴径は1.7m、二、三段の胴径は1.1m、発射重量は23,500kgと推測される。 KKV を搭載される第四段 はスラスタで操縦され、目標に正面から衝突する。
 中国は更に KT-2 及び KT-2A を開発しており、KT-1 が高度 1,200kmの目標、KT-2 及び KT-2A はそれ以上の高度の目標に使われる。 KT-1 は路上移動が可能で、 陣地進入後12時間以内に発射できる。
2007.01.30 Yahoo 時事通信記事

「中国衛星兵器の撃退可能 ・・・」

<0703-013001>
 米 MDA 副局長が29日、中国による ASAT の実験成功に関し、われわれにはミサイルやセンサーなどの強大な 能力が備わっており、命令が下されれば、容易に対処できると述べ、既存のミサイル防衛技術を応用して撃退 することは可能との見解を示した。
2007.01.29 Aviation Week & ST Aftermath <0704-012905>
 中国が1月11日に行った ASAT の実験は、米国の宇宙防衛と技術開発に更なる予算充当を行うきっかけとなる。  中国の実験は米に不快感と脅威論をもたらし、通信、情報ネットワークの中枢となる衛星防護策と共に、破壊に迅速に対処するための 小型即応衛星開発を促進する方針である。
 今回の実験により高度531哩から125哩の空間に数千個の破片が浮遊周回することとなり、各国の衛星に影響を及ぼす公算が極めて高い。  米空軍が1985年に行った F-15 による ASAT の発射試験 (右図) では、約250個の 破片が飛散し、いくつかは20年以上も宇宙空間を周回している。
2007.01.29 Aviation Week & ST ASAT strategy <0704-012903>
 中国が1月11日に行った、SRBM による低周回気象衛星の破壊実験について、多くの専門家は宇宙の軍事利用 を禁止するための、米国に対する牽制が狙いであるとみており、実験の継続はないと見ている。
 中国はロシアと共に宇宙の軍事利用に反対してきたが、米国は技術優越する分野では主導的かつ専制的な戦略をとるのが常であること から、今回の ASAT 試験は牽制を目的とし、併せて台湾への軍事支援に歯止めをかける意図があったとみている。
2007.01.24 Jane's Defence Weekly Chinese ASAT test rekindles weapons debate <0704-012401>
 米国が1月18日に、中国が1月11日に ASAT による衛星破壊試験を行ったと発表した。 中国の ASAT は IRBM に KKV を搭載したもので、865kmの上空で中国の FY-1C 気象衛星の撃破に成功した。
 米国は1980年代に F-15 から発射する ASAT の試験を実施している。
2007.01.23 東京新聞

インターネット

宇宙に巨大な破片の雲、国際・・・ <0703-012301>
 米政府当局者らが22日、中国の人工衛星破壊実験により宇宙空間に破壊された衛星の破片による スペースデブリが大規模な雲を形成しており、各国の衛星のほか国際宇宙ステーションにも衝突する恐れがあ ると警告した。
 また専門家は、デブリが高度約400km~3,000kmの広い宇宙空間にわたり観測され、この軌道上にある 120個以上の衛星が危険にさらされているとしている。
2007.01.22 Defense News China flexes space muscles <0704-012211>
 中国は1月11日に、衛星の破壊実験を行い成功した。 実験には旧型の気象衛星を標的として使用し、地上か ら約530哩の衛星をミサイルで破壊した。
 中国は明らかに宇宙及び電磁波領域での軍事的優越をめざしており、昨年は米偵察衛星に対するレーザ照射 による妨害を実験し、欧米諸国だけでなくアジアの日本、韓国、インド、台湾等に重大な懸念をいだかせている。
2007.01.22 Aviation Week & ST Space control <0704-012203>
 1月11日の夕刻、中国は四川省の発射基地から ASAT を打ち上げ、高度537哩を周回する 自国の気象衛星 FY-1C の破壊に成功した。
 Kinetic KV での直撃により飛散した Debris は大型のもの32個が確認され、少なくとも千個以上の微少な破片 が今後数年間残留することとなり、周回する各国の衛星を損傷する恐れが強い。
 中国の対衛星兵器実験は、昨年行われたレーザによる米偵察衛星の妨害に続くもので、宇宙の軍事使用に拍車をかけることとなる。  米 Space Com は今回の発射から衛星撃破を、DSP 衛星やレーダによりすべて確認していることを明らかにした。
2007.01.20 朝日新聞

インターネット

中国の衛星破壊実験、旧ソ連・・・ <0703-012002>
 中国の衛星破壊実験について、ロシアのイワショフ前国防省国際軍事協力局長が19日、旧ソ連の衛星攻撃兵器 の技術が応用された可能性があると指摘した。
 同氏は、1970~1980年代に配備していた IS-1 と呼ばれる衛星破壊システムを中国が改良して今回の実験を行 ったと考えると述べた。
2007.01.20 Yahoo 読売新聞記事

「中国が秘密兵器で米衛星へ・・・」

<0703-012001>
 米連邦議会の諮問機関である米中経済安全保障見直し委員会が19日、中国が米国などの人工衛星に対抗する ため検討している戦略を分析した報告書を公表した。
 中国については、弾道ミサイルを用いた人工衛星の破壊実験が発覚したばかりだが、報告書は秘密裏に開発した兵 器で米衛星に奇襲をかける計画の存在や、ミサイルによる物理的な衛星撃破に加え、電波妨害や地上局破壊 など多彩な攻撃の可能性を明らかにしている。
2007.01.19 Yahoo 毎日新聞記事

中国、衛星兵器実験に成功・・・」

<0703-011902>
 米政府が18日、中国が11日に対衛星兵器の実験に初めて成功したことを確認し中国政府に対し懸念を表明し た。 実験で破壊された衛星の破片が、日本も参加する国際宇宙ステーションなどの脅威になる可能性もある。
 17日に実験を最初に報じた AW&ST(電子版)などによると、中国は米東部時間11日午後5時28分(現地時間12日朝)に四川省の西昌宇 宙センタから対衛星兵器を搭載した IRBM を打ち上げ、搭載された KKV が1999年に打ち上げられていた中国の 古い気象衛星 FY-1C に高度約860km付近で衝突し破壊したと見られる。
2007.01.19 Yahoo 時事通信記事

中国が対衛星兵器実験、米・・・」

<0703-011901>
 米政府は18日、中国が衛星攻撃兵器(ASAT)の実験を行ったと判断していることを明らかにし懸念を表明した。
 中国は今月11日、地上配備の弾道ミサイルを発射し、高度約860kmにあった同国の老朽化した気象衛星を破壊 、宇宙空間における中国軍事能力の大幅な向上を示した。

  (◇:波多野MS:藤 岡MS)